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最初はただの仕事仲間。それがいつの間にか気になっていて、だけど彼女は伊沢を好きで。不毛でどうしようもないと思っていた恋だったけれど、彼女が振り向いてくれた時は天にも昇る気持ちだった。
俺たちの始まりはきっと多分、少し歪だった。でも、だからこそ、今こうして一緒に居られるのかも知れない。
「だから……ねえ。このまま、離さないでね」
俺の腕を掴む彼女の手が、微かに震えているのが分かる。ああ、そうだよな、怖いんだよな。――俺も怖いよ、どうしようもなく。
「Aみたいないい女、一度捕まえたら離す訳無いだろ。俺を誰だと思ってんのよ」
「世界で一番格好いいナイスガイの須貝さんです」
「宜しい」
夜でもないのに暗くなった空が、まるで落ちるように迫ってきていた。悲しみも恐怖も全て呑み込まれていく。程なくして終焉が訪れるだろう。
そして何もかもが消えゆく世界で。
「離さない――離れないよ、絶対に」
どれだけ世界が書き換わったとしても、この想いだけはどうか書き換えないでくれと、切に願うのだった。
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奈都(プロフ) - さっちいさん» 名作第一位更新とのありがたいお言葉で恐縮です。一年半以上も前に書いた作品ではありますが、こうして新たに読んで頂けてとても嬉しいです! (2021年8月6日 23時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
さっちい(プロフ) - 私の中の名作第1位更新しました…すごく好きな作品です! (2021年7月29日 10時) (レス) id: ebeed9cbc6 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - 清華さん» ありがとうございます。悲しい終わりではあるのかも知れませんが、それでも各二人にとっての幸せの形を描いたつもりでいます。泣いて頂けたら嬉しいな、と思いながら書いていたので本望です…! (2020年4月8日 22時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
清華(プロフ) - 一気に7人分をworld endを見ますた...心痛いですよ、めっちゃめちゃ泣きました、もうきついです(笑) (2020年4月1日 16時) (レス) id: 1c085b2c66 (このIDを非表示/違反報告)
Hërø(プロフ) - 奈都さん» 夢は大丈夫だったのですが時々それぞれのメンバーの最後を思い出してグッときてます笑 (2020年1月3日 1時) (レス) id: 7ab3904f14 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈都 | 作成日時:2019年12月9日 20時