1-3 ページ4
「お家どっちですか？ 荷物、お手伝いしますから」
言いながら、クーラーバッグの脇に屈み込む。目線が彼と同じ高さになった。
「いや、そんな……」
「お兄さん、どう見ても大丈夫じゃないでしょう」
少し強めの口調で言うと、彼は困ったような顔をしながらも、
「すみません。じゃあ、お言葉に甘えて……」
と弱々しい声で返事をした。その反応を確認して、私はクーラーバッグの持ち手を掴んだ。中身が何かは分からないが、まあそこそこの重量がある。
しゃがみ込んだままの彼は、一つ息を吐くと「よいしょ」と小さく呟いて立ち上がった。ひとまず立ち上がる程度は出来るようだ。
「こっちです」
と言いながら、ふらりと危うげな足取りで歩き出す彼の隣について、私も歩き出す。そっと横顔を覗き見ると、本当に驚くぐらい件の人物――伊沢拓司に似ていた。
それにしても、本当に救急車は不要なのだろうか。素人判断で安心していないで、医者に判断を仰いだ方が良いのではないか。
とは言え、一応自分の足で歩く事は出来るようだし、ひとまずは大丈夫なのかも知れない。別に医療従事者でもない見ず知らずの私が、必要以上に首を突っ込むのもおかしな話だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 731人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…！ (2019年9月14日 16時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています！！ (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：奈都
| 作成日時：2019年8月11日 10時
