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不意にスマートフォンが振動した。画面に表示されたのは会社の人間の名前だ。


「あ、ちょっとすみません。仕事の連絡が……」
「どうぞどうぞ」


 気にせずに、と彼が促してくれたので、サッとLINEを確認する。どうも後輩がミスをしたらしかった。今すぐ対処しなければならない話ではないようだが、月曜は朝から忙しくなりそうだ。
 手短に返信をしてから小さく溜息をつくと、そんな私の様子を見て伊沢くんが苦笑した。


「お仕事忙しいんですね」
「ああ、すみません。溜息ついちゃった」
「いえいえ、気にしないでください。ただAさん、忙しいだろうに時間作って貰っちゃって、何だか申し訳ないなって」
「あ、それは大丈夫です。最近は繁忙期も抜けたので少し落ち着いたんですよ。定時で上がれる日もたまにあったりして」


 まあ基本残業ありきな感じですけど――と続けて肩を竦める。定時なんてあって無いようなものだ。


「ずっと残業続きは厳しいっすね。仕事なんてそんなもんかも知れないですけど」
「そうですね。と言うか、伊沢さんだってこれからはお仕事に専念されるんでしょう? 残業続きになっちゃうかも。伊沢さん、この春で卒業ですもんね」
「あー、まあ……」


 伊沢くんは曖昧に笑って頷く。その反応に少し引っ掛かる所が無いでもなかったが、とりあえず気にしない事にした。そもそも彼の場合、現時点でも様々な仕事をしているのだから、あまり変わらないのかも知れない。


「何にしろ、周りの社会人から色々話聞いてると結構怖いですよ。そんなに毎日残業続きだと、なかなか疲れも取れなさそうだし」
「うーん。まあ、流石に今年で社会人五年目ともなるとね。慣れましたよ」


 小さく肩を竦めながら、トマトとモッツァレラチーズのブルスケッタを齧る。ザク、といい音がした。オリーブオイルとガーリックのいい香りがふわりと口内に広がる。

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奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…! (2019年9月14日 16時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています!! (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2019年8月11日 10時

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