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「いい話でしたね。私、ちょっと泣いちゃいました」


 映画に詳しくないので、お誘いを受けるまで今日の映画の事も全く知らなかった。一応、分類としてはラブロマンスになるらしい。実力のある若手女優と俳優をメインに据えた邦画だった。


「うん、結構泣き所もありましたね。あと、誘った側としては、Aさんに楽しんで貰えたみたいで良かったです」
「本当に誘ってくださってありがとうございました。私、ああいうちょっとファンタジー要素のある話、好きなんです」


 時刻は十七時半を過ぎた所だった。伊沢くんが近くのお店の予約を入れてくれているとの事で、今はその店まで移動する途中だ。


「でも私、ラストの海のシーンだけちょっと引っ掛かったんですよね」
「引っ掛かる?」
「ヒロインの幻影が見えて詳細を語ったじゃないですか。あれは無い方が良かったんじゃないかなって……」
「あー、分かる! 俺もそれ思いました! あれは敢えてボカしたままにした方が、絶対ストーリーとして映えるのに。ちょっと蛇足な感が否めないと言うか」
「ですよね? 良かった、伊沢さんも同じ事思ってて」
「まあでも最近、そういうの読み取れない人も多いですからね。作り手側も悩んだ結果かも」
「そうですね。読解力の低下ってよく嘆かれてますもんね……」


 白熱する感想発表討論会の中で伊沢くんの一人称が変化した事に、ほんの少しだけ彼の気の緩みを感じる。或いは若干ながらに距離が縮まっているのか。いずれにせよ、フランクに接してくれる分には全く構わないし、寧ろ嬉しい事だ。






 伊沢くんの先導で到着した居酒屋は、肉料理とワインが豊富なバルだった。通された個室はソファ席で、落ち着いて話す事が出来そうだ。


 一杯目は飲み易さを考えて軽めの白にした。伊沢くんは肉料理がメインだからとフルボディの赤を選んでいた。チーズの盛り合わせや和牛のグリルなど、幾つかの料理を頼む。ワインと冷前菜が到着するまでの間も、しばらく映画の話に熱中していた。

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奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…! (2019年9月14日 16時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています!! (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:奈都 | 作成日時:2019年8月11日 10時

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