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「でも、本当に助かりました。あそこでAさんに拾って貰わなかったら、僕、あのまま道端でぶっ倒れてたかも知れないんで。そしたら冗談抜きで救急車沙汰でしたよ」
「たまたま家までの通り道だったんで……。いや、でも良かったです。タイミング良く伊沢さんを見つけられて」
救急車でどうにかなれば良かったが、更に最悪の事態にも成り得ただろう。例えば仰向けの状態で動けなくなって嘔吐でもしたら――想像するだけでゾッとする。
「はは、本当にね……。でも、Aさんには荷物運びまでさせちゃって、本当にすみませんでした」
「いえいえ。気にしないでください」
別にそこまでしてくれと頼まれた訳じゃない。私が自発的にした事なのだから、伊沢くんに謝られると逆に申し訳ない気持ちになってしまう。
「…………」
一瞬だけ沈黙が下りた。その瞬間に、伊沢くんを知っている事を言うべきか言わざるべきか、私は脳を超高速で回転させる。
今日以降、きっともう会う事も無いのだろうし、このまま知らない振りをしていればいいのかも知れない。でも、それは隠している――嘘をついている事になる訳で、誠実ではないような気がした。また、人前に出る仕事をしている相手に対して、何処か失礼な気もしたのだ。
「……あの」
どう切り出すか迷い、最初の一言を口にしてから僅か逡巡する。否、考えても仕方あるまい。素直に正直に、確認するしかない。
「大変今更で申し訳ないんですけど、伊沢さんってあの伊沢さんですよね。QuizKnockの」
「ああ、はい。そうです」
伊沢くんは特に驚いた様子も無く、あっさりと頷いた。それから、
「もしかしてAさん、僕の事、最初からご存知でした？」
と穏やかな口調で続ける。
「えっ、どうして分かるんですか」
「見ず知らずの男にあそこまで優しくしてくれる女性って、普通居ないよなぁって」
「あ……」
指摘されてハッとする。言われてみれば確かにそうだ。実際、私だってあの時、彼が見知らぬ男性だったならここまでしないと考えていた。
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奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…！ (2019年9月14日 16時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています！！ (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都
| 作成日時：2019年8月11日 10時
