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式場には予定時刻よりも早い時間に到着した。万が一の事を考えて元の予定よりもかなり余裕を持って動きたい、という彼女の提案があったのだが、もう少しゆっくり動いても良かったかも知れない。いや、こういう考えだから俺は遅刻魔なのか。
新婦の方が支度に時間が掛かるという事もあり、先に着替えに向かう彼女を見送って、俺は式場内の挨拶回りへと向かった。プランナーに連れられて各スタッフに挨拶しつつ、本日の披露宴会場を覗いてみる。セッティング済みの室内は煌びやかな装飾だけれど、ゴテゴテし過ぎず品がある雰囲気で綺麗に纏まっていた。テーブルクロスの色も装花も二人で決めた通りの物だ。テーブルの各席にはアクリル板のパーテーションが置いてある。このご時世だし、無いよりはあった方がいいだろう。
窓の外にはレインボーブリッジが見えた。初デート、それからプロポーズをしたのがお台場という事もあって、東京湾に臨むこの式場に決めたのだった。
「あ、伊沢」
チャペルの中を覗くと、スタッフと話しているスーツ姿の伊沢を見つけた。
「福良さん。おはようございます」
「おはようございます。朝早くからありがとう。今日は宜しく」
「こちらこそ。俺ね、ちゃんと家出る前に発声練習もしてきたから。ガンガン喋るぜ〜」
「おお、やる気だ」
「そりゃあね。大切なお役目だから」
本日の司会である伊沢も、俺たちと同じぐらいの時間に式場入りしていた。ただでさえ年末は忙しいと言うのに、そんな中、朝っぱらから夕方までガッチリ拘束して申し訳ないと思いつつ、今日まで俺たちと、そして式場側と綿密な打ち合わせをしてくれた彼には、本当に頭が下がる。
俺もそこそこ仕事人間である自覚はあるが、伊沢は俺の更に二段階ぐらい上を行っているのだろう。まあこの一〜二年、本当に忙しくほぼ休みなんて取れない状態の中、適度に息抜きはしているようだが。どうも恋人の存在が息抜きの大きな理由になっているらしい。伊沢の彼女には、今後も上手い具合に彼のガス抜きをお願いしたい所だ。
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奈都(プロフ) - のんさん» コメントありがとうございます。それぞれの気持ちに寄り添って書いてきたつもりではあるので、感情移入して頂けているととても嬉しいです。やっぱり最終的にはきっちりゴールインしてほしい…！と思いつつ亀の歩みですが、これからも見守って頂けると幸いです。 (2021年10月1日 22時) (
レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 更新に歓喜です‼︎Gravityから読ませていただいている側としては感情移入しすぎて、若干泣きそうになりましたが、結婚考えてくれてたんだとホッとしました(笑)何度読み返してもキュンとできる奈都さんの小説、、私の元気のもとです！ (2021年9月26日 2時) (レス) @page31 id: 1f7bb03b81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奈都
| 作成日時：2021年1月31日 13時
