夏ときみの声と -Summer Memory-

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侑李「大貴…」

大貴「さっきの話、どういうことだよ。」









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いたのは、大貴だった。









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大貴の声。









声こそ荒げてはないものの、

有無を言わせぬ雰囲気がそこにあった。









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「大貴、これはその……」

大貴「俺、何回も言ったよな。Aに手ぇ出すなって。」









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上級生の言葉を遮り、

低く、呟く大貴。









何回も言ったって、大貴が今まで来なかったのは

まさか……









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大貴「それでお前ら、Aに何したって?なぁ?

閉じ込めた?Aを?









誰でもいいから答えろ。」









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手は出していないけど、殴られるより痛い言葉の刺。

言われてない僕でも、無意識に手が震えていた。









こんな怖い……

いや、完全に切れた大貴を見るのは初めてだ。









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「…っ、どうしてよ!」

侑李「は……」









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そんな重い空気の中、

一人の先輩が大声を上げた。









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「どうしてあの子なの!私のどこがいけないのよ!

どうして私じゃないの…!」









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怯えていた彼女は、開き直ったように泣き喚いて、

悲劇のヒロインを演じている。









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拉致が明かない。

聞いても、答えてくれそうにない。









いったいどうしたら…









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大貴「…言っとくけど、

俺はお前がダメとは思わなかったよ。」









「え…」









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ふと、大貴の声が響く。

さっきの怒りとは違った、落ち着いた声色。









彼女たちの前まで行く大貴。

そして、目線を合わせるように少しだけ屈みこんだ。









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大貴「お前がダメなんかじゃなくて、

Aじゃないとダメなの。









Aはたった一人の、

俺の大切な初恋の子だから。」









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