夏ときみの声と -Summer Memory-

＊ ページ42

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なんとか、気持ちを抑えられた。









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僕は、バレないように息をつき。

のんきなAは元気よく頷く。









だけど…大貴とは、

僕もAも気まずいままだった。









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宏太「有岡は今日も来てないのか?」

慧「大ちゃんは別の用事でいませーん。」









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文化祭実行委員のくせに、

大貴は一度も来ることはなかった。









Aに会いに来ることはなかった。









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せっかく僕が身を引いてあげたのに。

Aは文化祭に向けて頑張っているのに。









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何で会いに来てあげないの…









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慧「え?大ちゃんが来ない理由?」

侑李「そ。伊野ちゃん何か知ってる?」









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文化祭前日。









僕は最終確認をしていた伊野ちゃんを捕まえて

問いただしていた。









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慧「さぁ?俺は何も聞いてないけど。」

侑李「ほんとに?」









慧「ほんとほんと。何かはしてるみたいなんだけど、

大ちゃん本当に俺にも教えてくんないし。」









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むにむにと指で唇を触る伊野ちゃん。

その様子だと、本当に何も知らないみたい…









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慧「あ、でも大ちゃんから伝言預かってたわ。」

侑李「伝言?」









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唇から手を離して

指をパチンする伊野ちゃん。









伝言って…?









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眉を潜める僕。









そんな僕に、伊野ちゃんは

ちょいちょいと手招きした。









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慧「大ちゃん、“Aをよろしく”って言ってたよ。」

侑李「は…?」









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よろしくって、どういうこと?

大貴は、いったい何をしているの…?









大貴がそんなだったら、

本当にAを捕っちゃうよ…?









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首を傾げる僕。

伊野ちゃんも、さぁ?と同じように首を傾げて。









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この時、僕は本当に何も分かっていなかった。

大貴が、何をしていたのか。









本当に、Aの事を想っていたのは

大貴だということが。









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それが分かったのは、

次の日……文化祭だった。









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