78. バトンタッチ ページ25
――まだ一緒にいたかったけど、時間も時間だし、そのまま別れた。
…起きたことの全てが、まだ信じられなくて。
部屋に着いてカバンを床に放り投げたと同時に、バタバタと大きな足音が聞こえた……と思ったら勢いよくドアを開けられた。
――あ、万里だ。
そう思った瞬間、肩をガッシリ掴まれてグラグラ揺らしてくる。
万里「至さん！A……Aと…！」
至「ちょ、とりあえず落ち着け。あと、脳揺れるから」
万里「さっき、Aから連絡きて！至さん、ホントに…！」
至「…まだ実感ないけど、うん」
そう言うと万里が、泣きそうだけど、嬉しそうな顔になった。
万里「…っ…よかった……」
万里が力が抜けたようにその場に座りこんだ。
はは、と自嘲気味に笑う。
万里「ホンット、世話が焼ける…」
至「てか、びっくりした。万里探してたらAがいたんだもん」
万里の前にオレも座ってみる。
…若干泣いてるし。
万里「Aが呼び出してもアンタのことだからぜってー来ねぇと思ったんだよ」
至「うん、行かなかった自信ある。…万里、ありがとう」
――万里がいなかったら、Aとは出会ってなかった。
きっと、こうして想いが通じ合うこともなかった。
くしゃっと頭を撫でると…万里がぼろぼろ泣き出した。
万里「っ…A泣かせたら、至さんぶん殴るからな」
至「マジか。手加減よろ」
万里「ついでにゲームのデータ消す、全部！」
至「そしたらオレも同じことするわ」
万里「…Aのこと、頼んだからな」
至「…うん」
…今まで、万里がAのことを守ってきた。
生まれてから、ずっと。
―――今度は、オレの番なんだ。
…涙の止まった万里がオレを睨んだ。
万里「…言っときますけど、高校卒業するまでキス以上は無しで」
至「したらどうなる？」
万里「マジで殺す」
至「真顔やめて、怖い」
…ふぅ、と息を吐く。
至「…万里、オレがAにそんなことすると思う？」
万里「は？するだろ。逆にしなかったら男としてどうなんすかソレ」
至「待って、矛盾しまくってるんだけどオレどうしたらいいの？」
万里「あんな可愛いヤツ相手に平静でいられるとかありえねぇ」
至「何？オレ手出したほうがいいの？」
万里「出したら殺す」
至「理不尽すぎる」
…万里、シスコン極めすぎ。
……言われなくても、大切にするよ。
これから先、ずっと――。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 657人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mina(プロフ) - 姫林檎さん» ひめりんごさん！嬉しいお言葉ありがとうございます！( .. ) 亀更新ですみません…(泣) これからもがんばります(^^♪ (2017年10月28日 9時) (
レス) id: da5037e298 (このIDを非表示/違反報告)
姫林檎 - Mina様初めましてひめりんごと申します。毎度毎度更新させれるのを楽しみにしていますヾ(●´∇｀●)これからも頑張ってください！ (2017年10月28日 1時) (レス) id: 30815a9d4d (このIDを非表示/違反報告)
Mina(プロフ) - pineさん» すみません！外しておきますね。ご指摘ありがとうございます！ (2017年9月7日 17時) (レス) id: da5037e298 (このIDを非表示/違反報告)
pine(プロフ) - オリフラ外してくださいね (2017年9月7日 6時) (レス) id: 3bc5a1844b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Mina | 作成日時：2017年9月7日 1時
