119話 ページ24
｢うう……いたっ………｣
｢ああ、起きたね。大丈夫？｣
｢……アルフレッド？｣
頭がなんだか痛いなあとまず思った。
どうやら眠っていたらしい自分が目を開いてみると真っ先に見慣れた色の金髪が飛び込んでくる。ぼやける視界が次第にピントを合わせて、ようやくそれが助手の頭であることを理解した。
くらくらと揺れる脳内が俺に更なる覚醒を促してくる。この感覚は酒に酔っている時のそれだ。
そこで俺はきょろきょろと辺りを見回す。意識が途絶える前にはアルフレッドを待つ傍ら、アントーニョと話しながら飯を食っていた覚えがあったのだが、今の状況はどうやら違うらしい。バーの中ではあるらしいものの、喧騒は遠くに聞こえる。その部屋にはソファと机がひとつずつ、そして二つのロッカーが並べてあった。
｢フランシスが休んでていいよって。何も酔い潰れるまで飲まなくても良かったんじゃないかい？｣
｢あー…なるほど、そういうことか。すまん。｣
｢それは後でフランシスに言いなよ。｣
おそらくスタッフルームであるのだろう。部屋の隅にはよく見慣れたリュックサックが置いてある。そこで俺は酔った結果助手に介抱されていたらしい。身体を起こすとアルフレッドが手近にあった水入りのペットボトルを寄越した。
吐き気がするほどではない僅かな気分の悪さを水で流す。
｢つーかお前、仕事は。｣
｢フランシスの手が空いたところだったからね。俺は晴れてお役御免さ。｣
｢今何時だ。｣
｢もう少しで九時。君はここにいていいよ。俺が代わりに片付けてくるから。｣
｢はあ、お前ろくに家事できないだろ。それに報酬の話だって…｣
｢失礼だな君！片付けくらい俺にだってできるし、報酬はサインを取り敢えず貰ってくればいいんだろう？｣
楽勝だよ、と胸を張っているアルフレッドには非常に申し訳ないのだが不安しかない。それに契約書の入ったファイルは俺の少ない手荷物の中だ。どうするつもりなのだろうか。
やはり俺が行くしかないのかと立ち上がろうとすれば、アルフレッドの馬鹿力でもってソファに押し戻されてしまう。｢いいから寝ててよ｣と言うその瞳には若干の怒りが感じ取れた。
｢たまには助手に仕事を任せてくれ。大人しくしていてよ。心配なんだよ、お願いだから。｣
そう眉根を寄せられてしまえば俺も頷くことしか出来なかった。
仕方なく書類の場所を告げて再び横になる。アルフレッドはそれを確認すると静かに部屋を出ていった。
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ミチル - ID違うんですけど一応同一人物です、、、！ (2022年9月15日 7時) (
レス) id: 4511edeaa7 (このIDを非表示/違反報告)
ミチル - 初コメからしばらく経ちましたが未だに見に来てます。とても面白いし、この作品の続きを楽しみにしている人もいると思います！私はいつまでも続きを待ってます！ (2022年9月15日 7時) (レス) id: 4511edeaa7 (このIDを非表示/違反報告)
ミチル - 初コメ失礼します。凄い面白くてあっという間に読んでしまいました！更新楽しみにしてます！ (2022年8月3日 23時) (レス) id: e447b7200f (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - 山口さんさん» 四年も前の二次創作に心温まるお言葉をくださり、ありがとうございました。 (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
山口さん(プロフ) - ただただこのそうるさんのひとつひとつの表現が好きです (2022年4月30日 2時) (レス) id: 218fc2ba1d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：そうる x他1人 | 作成日時：2018年1月9日 17時
