検索窓
今日:5 hit、昨日:43 hit、合計:21,043 hit

114話 ページ19

「すまんすまん。つい。」

「もう!!……そんなにこれ変?」

「全然。むしろ似合ってんじゃん。」



不満げな顔をしていながらも褒めてやれば照れくさそうに頭を搔くのが可愛らしい。珍しく髪までワックスで固めてあって、恐らくマスターに散々弄られた結果なのだろうと容易に想像できた。

アルフレッドはその身をギャルソンの一式で包んでいた。店にはアルフレッドの着れるサイズは置いていなかったようで(主に横幅的な意味で)、これはアルフレッドの自前なのだそうだ。存外この手の格好もこいつには似合うのだな、と感心する。

さて何故こいつがこんなことになっているのかと言えば、答えは簡単。流石に仕事依頼に駄々こねた助手を無条件で参加させるのは申し訳ない、と俺がマスターに提案したのだ。アルフレッドに給仕をさせてはどうかと。
丁度その役割りはマスターが担うつもりでいたようだったから、折角アルフレッドがいるならなにかに使ってほしいという思いも強くあった。アルフレッドはそれに対してぎょっとしたような顔をして、当初は切々と抗議の意を唱えていたが、マスターが俺の意見に同調するとそれは結局雇用主と依頼人の間ですんなりとまとまってしまったのである。

おかげで先程より女性の視線をその一身に受けている。アルフレッドがシャンパンをトレイに乗せればそれは何もしなくたって瞬く間に消費されたし、彼のズボンのポケットには複数枚の紙が詰め込まれていた。
それに反して俺の胸ポケットにはアントーニョがくれた連絡先が一枚である。解せない。

アントーニョもローデリヒも既に女性たちと会話に花を咲かせているようだった。



「…お前ガールフレンド出来たら仕事来なくなんの。」

「はあ?なんだいその話は。俺にパートナーができるように見えるのかい。」

「その言葉は紙切れを一枚も持たないやつなら信用できたな。」

「ああ、こんなのどうせガムの包みになるだけだよ。」



ぎょっとしてアルフレッドの顔を改めてまじまじと見てしまう。あくまでアルフレッドは興味が無いようだ。
壁際で空のお盆を脇に挟みながら彼は近場の料理を口に運ぶ。俺がそばに居るからか話しかけられはしないが、きっと周りの女性の何割かはこいつに夜の誘いをしたくてたまらないだろう。中身はガキだが見た目はそこそこである。ただでさえそうなのに、今は格好のせいで数倍大人びて見えた。

115話→←113話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
137人がお気に入り
設定タグ:男主 , ヘタリア , APH   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミチル - ID違うんですけど一応同一人物です、、、! (2022年9月15日 7時) (レス) id: 4511edeaa7 (このIDを非表示/違反報告)
ミチル - 初コメからしばらく経ちましたが未だに見に来てます。とても面白いし、この作品の続きを楽しみにしている人もいると思います!私はいつまでも続きを待ってます! (2022年9月15日 7時) (レス) id: 4511edeaa7 (このIDを非表示/違反報告)
ミチル - 初コメ失礼します。凄い面白くてあっという間に読んでしまいました!更新楽しみにしてます! (2022年8月3日 23時) (レス) id: e447b7200f (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - 山口さんさん» 四年も前の二次創作に心温まるお言葉をくださり、ありがとうございました。 (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
山口さん(プロフ) - ただただこのそうるさんのひとつひとつの表現が好きです (2022年4月30日 2時) (レス) id: 218fc2ba1d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:そうる x他1人 | 作成日時:2018年1月9日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。