【男主】unità difettoso！【APH】

29話 ページ31

「ごほっ、げほっ……！？」

「ああ良かった、人がいる！かなり探したんだぞ！この立地の悪さはなんなんだい全く。」



扉がある方へと思い切り顔を向けると、そこには随分と身体の大きな男がいた。眼鏡をかけているから遠巻きだとはっきりはしないが、おそらくは青い目を持つ金髪の輩。
そいつはたった今、泥で汚れているように見える靴のまま、こちらに上がろうとしている。身体が飛び起きて、慌ててその寸前で静止の声を叫ぶ。



「お、おま、ここは土足厳禁だ！靴脱いで入れ！！」

「え、そうなのかい？」



男はかなり顔を顰めたが、言われた通りに靴を脱いで靴箱に並べていた。そこに置いてあるスリッパを履くように言うと、それもまた嫌そうな顔をしてから床に置いて足を突っ込んでいる。
嫌な顔をしたいのはこっちのほうだ。扉は優しく開くべきだし、何より俺のケーキの最後を無駄にしやがって。

ひくつくこめかみを抑えながら、どうやら「探偵」に用があるらしきその男をもう一度観察してみる。
男は汗をかいている。長い時間外にいたかもしくはかなり動いたため。多分その両者。見た目と態度からしてきっと未成年。眼鏡や服にブランド物が紛れてるけどそれ以外は量販店のもの。いいとこの息子だろうけど本人はあまり気にしていないタイプか。親が服を買ってるならこんなことにはならないから、一人暮らしでもしてるんだろうなあ。だいぶ気崩してるし。鞄などの荷物が無いから探索依頼の可能性は薄いかな。
訝しむ俺など知ったことではないというように、そいつはずかずかと上がり込んできてから再び、「探偵の(名字)Aって君のこと？」と聞いた。間違ってはいないから素直に頷く。
すると男はすぐさま目を輝かせると、大きく1歩俺に詰め寄ってがっしりと手を掴んだ。近い近い近い怖い。


「俺はアルフレッド･F・ジョーンズ。近くの通りの家に住んでる大学生。」

「ひっ、へ？アルフレッドさん、ですか？それで本日は一体どのような…」

「君に！」

「はいっ！？」



聞いてもいない自己紹介が突如始まったかと思うと、そのアルフレッドという青年はいきなり声を大きくして言った。思わず元気のいい返事が口から飛び出す。うわ恥ずかしい。
彼が神妙そうな面持ち半分で続けた言葉は、ある意味とんでもないことであった。



「君に、ゴーストの正体を調べてほしいんだ！」

「は、はい……？」

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