22話 ページ24
フランシスside
「いらっしゃいませ。」
「あー…二人なんだけど、席空いてる?」
可愛らしい店員の女の子が案内してくれたのは、外に面した大きな窓の側、景色を存分に楽しめる場所。(読み)ちゃんはこういう場所が新鮮なのか、嬉しそうにきょろきょろと辺りを見回している。
「綺麗なお店ですね…!」
「よかった。俺の行きつけのところなの。」
偶然の再会があったなら、それがクソ眉毛みたいな相手ではない限りお茶に誘って会話を楽しみたい。
店はその時の気分もあるけれど、タチバナちゃんならば馴染みのこの店がいいかな、と考えた。
相手も快諾してくれて、その結果がこれである。
案の定(読み)ちゃんは大変お気に召したようで、オーダーを取りに来た店員が、その嬉々とした顔に少し不思議そうにしている。
俺はアイスコーヒーを、彼はアイスティーを注文した。
「この店、少しなら外の食べ物持ち込みしても大丈夫だから、さっき買ったケーキ、よかったら一緒に食べようか。」
「本当ですか!じゃあそうしようかなあ……マスターはよくここに?」
「うん。この店何頼んでも美味しいからね。昼間によくランチに来るかな。夜も夜で照明が綺麗なんだよ。デートしたら女の子受け抜群。」
ここは人気店であるから、今だって8割ほど席が埋まっていた。みんなに親しまれやすい雰囲気をこの店は持っている。
ケーキの箱を開けて二人でテーブルに広げた。さっきのケーキ屋で、店員が小さなプラスチックのフォークを箱に一緒に入れてくれている。ちなみに、ここで持ち込みをする際には何か一つは注文しなければならないのがルールである。
カラン、と音を立てて二人分のグラスが運ばれてきた。
「いただきます。」とは向かいの席の男から聞こえた声だ。
「んー!美味しい!俺の目に狂いはなかった!」
「甘い物好きなんだねえ。」
「そりゃもう…食べたら幸せになりますからね。」
「あら、素敵。」
フォークで優しく、ケーキの一端を切り取って口に運ぶ。俺が選んだのはチーズケーキで、ふわりと溶けてなくなるような食感に、鼻を抜ける香りがたまらない。
タチバナちゃんは口いっぱいに頬張ったケーキを大層幸せそうに噛み締めている。喉に詰まらせたりしてもこれじゃ何も言えない。大きなケーキではないから、すぐに咀嚼できるのが救いである。
「にしても久しぶりだね。」
「そうですねえ…なんやかんや忙しかったですから。」
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そうる(プロフ) - 表現や関係性、トリック等に山のように修正箇所がありますし、名前変換の修正が不充分な箇所もあるので土に埋まりたいほどなのですが、それでも今なおコメントしてくださっている方、地中から発掘してくださった方にこの場を借りて御礼申し上げます。 (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - 読んでくださっている方、ありがとうございます。古に拙文を書いた当人です。四年前のテキストに耐えかねアカウントを消してしまったため、この作品の細かい箇所の修正がもうできません。(パスワードを忘れてしまいました) (2022年7月9日 22時) (レス) id: 4692de9cf0 (このIDを非表示/違反報告)
そうる(プロフ) - のぁさん» 貴重なご意見ありがとうございます。とても参考にさせていただきました。弱い、という言葉では主人公を表すのにいまいちしっくりきていなかったので思い切って変更することにしました。続編の方でもお付き合いいただければ幸いです。 (2017年10月22日 20時) (レス) id: e4ea35986a (このIDを非表示/違反報告)
のぁ(プロフ) - 続編おめでとうございます!題名の事ですが、私としては題名にこだわり等はないので変わってもそのままでも、と思っています。もし作者様が今の題名より素敵な題名を思いついたのであれば、それに変更する。というのでもいいと思います! (2017年10月22日 17時) (レス) id: 716e994b36 (このIDを非表示/違反報告)
英智君尊いよぉぉぉぉ(((殴 - あっそうなんですね。わかりました〜書き直しが出来たら教えてください♪ (2017年6月17日 18時) (レス) id: 2f00a5668f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:そうる | 作成日時:2016年12月12日 9時