【男主】unità difettoso！【APH】

17話 ページ19

｢今日宿とるの忘れちゃって…！ここら辺なら大丈夫かもって！！お金は昼間カジノで少し勝っただけで何もやましいことは、｣



あたふたと自分の無実を証明するために動いた手は見事にぎごちなく、逆に怪しさを醸し出してしまったことには自分でも気付くことができた。人は疑われればこんなにも挙動不審にぺらぺらと弁明の言葉が出るようだ。うわあやしい。
そんな俺の態度に若干苦笑しながらも、彼は「わかったわかった。大丈夫だから」と俺を窘めた。

もう一人の青年が俺を見て何かに気づいたように「ああ、」と声を上げる。



｢今日うちの店で大勝ちしてった東洋人ってお前か。｣

｢あれ、兄ちゃん知ってんの？｣

｢飛び込み客が根こそぎ持ってったって話題になってやがったぞ、ちくしょー｣



青年二人にまじまじと見つめられては照れてしまう。場違いながらにへらっと笑いながら頭を掻いた。そこで、「ん？」と思いとどまる。
ちょっと待て、俺。こいつらはうちの店だと言ったんだぞ。つまりそれはこいつらって。
脳がそこまで追いついたと同時に顔が青ざめた。あんな大きいカジノ運営できる会社や職業なんて知れている。つまりはそういうことだ。こわーいお兄さんたち。
今度は俺が二人を見つめる番であった。まだこんなに若いのに、どうやら裏側の人間であるようだ。綺麗な身なり、営業を任されているところから相応の身分だということもわかる。消音器付きの銃は決定打であった。

外気が異様に冷たく感じた。



「へー、アンタすごいんだね。」

「へっ？は、はは……」



君らの方が多分段違いに凄いんでしょうけどね！
そんな言葉をぐっと飲み込み、ぐいっと顔を寄せて笑いかけた青年へと愛想笑いを返す。
一難去ってまた一難だ。これはもしかしたら死亡フラグか。俺は死ぬのか。

しかし青年たちは俺の元気な様子を見て、二人で目を合わせてから頷きあって言った。



「じゃあ目的も果たしたし、俺らはもう行くよ。」

「金、落とすんじゃねえぞ。」



拳銃を握った方の青年は落ちていた俺の荷物を軽く持ち上げると、片手でぽいと投げて寄越した。荷物のことをすっかり忘れていたが、かなりの量のはずだ。腕力も物凄いらしい。
いつの間にか辺りは綺麗に片付いていて、男の死体は優しげに微笑みを浮かべる青年の腕により首を掴まれていた。
車の音が聞こえてくる。



「この件は他言無用でね。」



そう言って片目をつぶった男は、次の瞬間には目の前から消えていたのだった。

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