No.260 ページ21
貴｢でき…た？｣
今さらながら、総長の帽子だけを借りて付ければよかった。
そんな軽い後悔を抱きながら、これでいいのかと後ろから総長の帽子を確認しようと覗き込む。
かなり近い距離にある総長の顔、バチッと目が合ってしまったらもう、ゴーグルを確認する余裕なんてなくなった。
ｻﾎﾞ｢サンキュー、A｣
貴｢っい、いえっ｣
熱…下がったはずなのに、また上がりそう…。
貴｢そ、そういえば総長、船停まってますよね、今｣
不自然に見えないように気をつけてながら、顔を逸らして隣に座り直す。
ｻﾎﾞ｢ああ、寄る予定はなかったんだけどな。
まあ…ちょっと野暮用でさ｣
貴｢…もしかして、自分のせい…ですか？｣
口をついて出たその言葉は、総長のデコピンによって押し戻された。
ｻﾎﾞ｢単に船の点検でだよ、Aは一切関係ない。
どうしてお前はそう、物事全てを自分のせいにしたがるんだよ｣
貴｢………｣
だって、自分のせいにするのが一番いいんだよ。
誰かを恨んだり憎んだり、そうやって誰かのせいにしてしまうよりも、自分のせいだって自分だけを責めて、それで一人で閉じこもるのが楽だった。
目を伏せて黙ったままの私の頭に、総長の手が優しく触れる。
ｻﾎﾞ｢まったく…。
いつまで経っても、AはAのままだよな…｣
貴｢…それ、自分はどう受け取ればいいんですか？｣
ｻﾎﾞ｢さあな、自分で考えてみろよ。
まあ、褒めてないのは確かだけどな｣
クスクスと小さく笑いながら、総長の手はゆっくりと離れた。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
