▽ ページ28
久しぶりとなった風磨くんとの寄り道の日。以前見つけた落ち着いた雰囲気のカフェでの話題はやっぱり期末試験についてだった。話しているうちに不安になってきた私たちは、それぞれ英語と数学の問題集を広げ急遽勉強会を開催することにした。１人だとついスマホや漫画に手が伸びてしまうけれど、近くで誰かが勉強していると自分も手が抜けないと集中出来る。
「……ファミレス行けば良かったな」
「ホントだね」
追加のドリンクを頼んだ後、風磨くんがポツリと呟いた。テーブルに教科書や問題集を広げた私たちに店員さんは何も言わなかったけれど、長時間の滞在はお店側からすると喜ばしいことじゃない。そして何より、ファミレスのドリンクバーだと何も気にせず飲み物やスープが飲める。勉強中は口が寂しくなるのか、ついコーヒーやチョコレートに手が伸びてしまうのだ。
運ばれてきたアイスカフェラテを飲みながら問題集を進めていく。まだ明確に進路は決めていないけれど、選択肢を狭めてしまうのは嫌だと思って選択科目に数Bを選んだ私は、苦手な数学の試験を二種類受けなければいけない。数IIとは違ったややこしさがあって、前回の試験前は前日に勝利に散々教えてもらった。
「……風磨くん」
「ん？」
「これ分かる？」
トントンと向かいに座る風磨くんのテーブルを叩いて教科書を見せる。えー？ と眉を顰めながら視線をこちらに寄越した風磨くんは、数秒教科書を読んだ後「分かんね」と言ってまた英語へ戻ってしまった。
「えー」
「それ数Bだろ？ 俺取ってねーし」
「風磨くんなら分かるかなぁと」
「なんでだよ」
ふ、と笑った風磨くんは逆に英語の問題集をこちらに向けてきた。「ここの答え分かる？」と下線が引かれた部分を示されて、どれどれと単語を日本語へ変換していく。
「えーと、A？」
「違いまーす。C」
「英語もやらないとダメなのか……」
無理……とため息をつく私に、風磨くんがふははと楽しそうに笑う。数学に英語、古典、世界史、生物、地学。苦手な科目ばかりだ。こんなの勉強して何の役に立つのだろう、どうせ数ヶ月後には忘れてるのに……と試験前を迎える度に思う。
「まあまあ、まだ時間あるし」
「そうだね」
「とか言って前日に焦るんだけどな」
試験前あるあるを口にした風磨くんは、「遅くなってきたしそろそろ帰ろうか」と問題集を閉じた。窓の外はまだ明るくて、夏が来たなぁ、と感じた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 259人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SexyZone」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハル(プロフ) - ハッピースクールさん» ハッピースクールさん！こちらも来て頂いてありがとうございます(^^)頑張ります！どうぞよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ﾉ (2021年8月22日 21時) (
レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 名無し96398号さん» コメントありがとうございます！全部読んで下さったんですか！？ありがたや…！無理しない程度に頑張ります！のんびりお付き合いくださいね(*^^*) (2021年8月22日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハッピースクール(プロフ) - ハルさんのお話大好きで、新作楽しみにしてました。頑張ってください (2021年8月22日 2時) (レス) id: ce9527749f (このIDを非表示/違反報告)
名無し96398号(プロフ) - 勝利くん担でハルさんのお話全て読ませていただいています！今回もものすごく楽しみです、、！無理しない程度に頑張ってください！！ (2021年8月21日 23時) (レス) id: 55f375899c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
