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理科室の角を曲がろうとして、耳に飛び込んできた声。
慌てて足を止めて影に隠れる。「佐藤」くんって、勝利のこと？
しゃがんでそっと角から覗くと、後ろ姿の男子生徒と、何度か見たことのある女子生徒の姿。男子生徒の方は顔を見なくても勝利だと分かった。
「去年からずっと好きなんです」
震える声で続く告白。顔を赤くして勝利と向き合う女の子は可愛らしくて、例えばこれが漫画やテレビドラマなら全力で応援したくなる。
けど、これはフィクションではなく、現実に起こっていることで。勝利がなんて答えるのか、聞きたいような聞きたくないような、ただ、この子と付きあうのかな、と思うと落ち込みそうになる自分がいた。
「……俺は」
黙ったままだった勝利が不意に口を開く。その声が聞こえた瞬間、思わずその場から離れた。
・
教室に戻ると楽器を持った生徒が数人いた。少し困った表情を浮かべた彼女たちに「すぐ出ます」と断りを入れてリュックを背負う。傘は無いままだったけど、もう居場所は無さそうだった。
とりあえず駅前まで走ろう。10分くらいあるけど。そしたらコンビニがあるから、そこでビニール傘を買えばいい。
びしょ濡れで電車に乗ったら嫌がられるだろうか。座れないのは辛いけど仕方ない。スカート、お母さんが帰ってくるまでに乾くかな。
さっきと変わらない勢いで降る雨に思わずため息をつく。今日は運が悪い。
よし、と覚悟を決めた時、ヴヴ、とポケットの中のスマホが震えた。取り出すと、勝利からの着信画面が表示されている。
「……もしもし」
『もしもしA？ どうしたの？』
いつもと変わらない勝利の声。ふっと、さっき理科室横でみたシーンが思い返される。
「えっと、『佐藤ー！ 早く！』『今行くー！ ごめん、で、どうした？』
「ううん、大丈夫。解決したから。部活頑張ってね」
『……そう？ じゃあ呼ばれてるから行くね』
「うん。ばいばい」
トン、と受話器のマークを押すと通話が切れる。傘を忘れたって言えば勝利は持ってきてくれたのだろうけど、なぜだか言えなかった。
スマホをリュックの中に放り込んで、今度こそ雨の中に飛び出す。
……もしあの子と勝利が付き合ったなら、今まで通りには接することが出来なくなるのかな。
教科書を借りたり一緒に帰ったり、部屋に行って漫画を読むのもあの子の特権になるのだろうか。
それは、嫌かも。
「A！」
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ハル(プロフ) - ハッピースクールさん» ハッピースクールさん！こちらも来て頂いてありがとうございます(^^)頑張ります！どうぞよろしくお願いします( ´ ▽ ` )ﾉ (2021年8月22日 21時) (
レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 名無し96398号さん» コメントありがとうございます！全部読んで下さったんですか！？ありがたや…！無理しない程度に頑張ります！のんびりお付き合いくださいね(*^^*) (2021年8月22日 21時) (レス) id: c9566d77ee (このIDを非表示/違反報告)
ハッピースクール(プロフ) - ハルさんのお話大好きで、新作楽しみにしてました。頑張ってください (2021年8月22日 2時) (レス) id: ce9527749f (このIDを非表示/違反報告)
名無し96398号(プロフ) - 勝利くん担でハルさんのお話全て読ませていただいています！今回もものすごく楽しみです、、！無理しない程度に頑張ってください！！ (2021年8月21日 23時) (レス) id: 55f375899c (このIDを非表示/違反報告)
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