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｢お、お邪魔します…｣
お仕事前の皆さんの楽屋に来るのは初めてで緊張しちゃう私。
正反対に、呑気に周りを見渡す齋藤さん。
｢俺、宮田くんいるらしいから挨拶してくるーっ！｣
佐久間さんは荷物を置いて、速攻飛び出して行った。
｢ソファー座りなよ？｣
楽屋の中にいた宮舘さんがそう言ってくれて、有難くお邪魔することにする。
お土産、じゃないや。差し入れはみなさん揃ってからの方がいいのかな？ なんて思って、端っこに寄せておいて。
セッティングの時間になったら手伝いに行こうと少しだけ阿部さん、宮舘さんとの会話を楽しもうとしたその時。
｢茂木ちゃん、今度のデート、いつがいい？｣
｢…は？｣
｢同じ部署だと終わる時間とか見えやすいから助かるよね〜。何食べたい？ どこ行く？ あ、ピザとかシェアする？｣
｢…えっ、ちょっと｣
なんでわざわざ見せつけるように言ってくるの、と悔しいし困るしで俯いたその時。
｢ねえ、茂木さん、っていうか、Aちゃんってこの人と付き合ってるの？｣
｢あれ、食事会で恋人いないって言ってたよね？｣
阿部さんと宮舘さんが話しかけてきてくれた。
｢付き合ってないですし、恋人もいないです｣
｢え〜じゃあ、デートの約束してたの？｣
｢…っ！ そんなのしないですよ！｣
｢そっかそっか。姫の言うこと信じるよ？｣
もちろんです、なんて言いかけた時にドアが開いて固まる。
｢おはよお〜｣
｢あれ、どしたの？ Aちゃん、気をつけなよって言ったじゃん〜？｣
髪の毛ボサボサの深澤さんがやってきて、そんな軽めのお説教。
｢え、はい、すみません…？｣
｢ふっかあ、Aちゃんに気をつけなよだけじゃ無理あるでしょ｣
｢まあまあ、阿部ちゃん怒んないの〜ってか、さいとーさん、だっけ？ 離れといた方が身のためよ？｣
｢は？ なんなんだよてめえ、お前らの動画印象悪くすんのなんて簡単なんだからな？｣
｢させませんし、担当じゃないですよね｣
｢お前、顔だけの使えねえやつだな。隣に置いてやろうと思ったのに｣
｢お前、その言い方…！｣
宮舘さんが怒ってくれた。けど、ここでいざこざにしたくなくて。
｢あの、時間なので行きますね。お邪魔しました。この件、何も無かったことにしてください。私は平気なので｣
そう言って、怒って出ていった齋藤さんを追いかける形で部屋を出た。
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作者名：なあちゃむ | 作成日時：2022年4月30日 0時
