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来るな来るなと願っても時間は経って、次の日はやってきた。
重たい身体と気持ちに喝を入れてなんとか仕事に行く準備をする。
「あ、曲、聴いてないや」
副社長から踊れなんて言われたものの、なんの曲で踊るのかも知らない。
とりあえず、いつものスカートにプラスしてジャージを入れて家を出る。
終業後、スタジオで。
なんて書かれたメモが私のデスクに置いてあって。
「何、A、踊ったりするの？」
クマさんに突っ込まれてしまう。
「えっ！？ いや、あの、こ、これは…」
「あっ！ そう！ Snow Manさんの！ ダンスレッスン見学するんです！」
イメージ湧かせるために！ なんていつ考えても苦しすぎる言い訳。
「ふ〜ん、そっかあ」
疑うような目で見られながらも、始業時間がやってきたおかげで助けられた。
今日も今日とて、Snow Manさんのことを学んで、合間にCMの映像手直しを頼まれたからそれをやって。
あわあわと動いていたら、終業してしまった。
「はあ…向かうか」
なんだかんだで少し楽しみなのは気のせいだと思いたい。
「あ！ 茂木さん来た〜！」
大きな声のラウールさんに出迎えられて踏み入れたレッスンスタジオ。
「へえ、こんな感じなんだ…」
入社してすぐに社内案内されたけど、避けるように見てなかったから初めて見た。
見れるようになるまで、成長したのかな。
「あら、茂木ちゃん、お着替えしなきゃなの？」
謎の口調で話しかけてきたのは、深澤さん。
「あ、たしかに。汗かいて帰りたくないですし」
「ひかる！ 更衣室教えたげてよ！」
「え！？ い、岩本さん！？」
「なあに、ひかるが案内するのやなの？」
「いや、そんなこと…は、な、い、です、けど」
正直ちょっと怖い。
いや、嘘。だいぶ怖い。
「ん、行くよ」
ほらあ、無言だよ、怒ってるよ…
「はっ、はい…」
お互いに距離取って、無言でしばらく歩いて。
「ここ」
なんとか生きて更衣室に到着した。
「あ、ありがとうございます」
「待ってるね」
「え！？」
帰り道わかんないでしょ、なんて顔を背けられながら言われて。
「…たしかに。ありがとうございます、急ぎます！」
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作者名：なあちゃむ | 作成日時：2022年4月30日 0時
