42話 ページ42
Aside
「A嬢、許可は出そう。だが、質問に答えてもらいたい。……貴方には何が見えている？」
そう言って執務机に肘をついたグルッペン。その後ろには、書類の確認をしながら呆れたように彼をを見る、トントン。
国の、軍のトップ2。怖くないわけが無い。彼らを前にして、緊張しない訳が無い。
だけど、何故か今は、目の前の2人が怖くはなかった。
ついこの間まで感じていたそれは、もう私の中には存在しなかった。
あの件から一週間。
あまりに大きすぎるショックに頭は追い付かない。やっと理解が追い付いた頃に襲ってくるのは果てしない虚無感と、悲壮感。胸にぽっかりと大きな穴が空いてしまったような。
たった一週間で、その隙が埋まるわけも無い。
今だってまだ、思い出せば人目もはばからず泣いてしまいそうだ。憎くて、憎くて仕方が無い。
それでも私にはやることがある、から。
一週間、ルイさえも部屋には立ち寄らせず、久しぶりに会った彼女は私を想って泣いていた。
そんな人が、1人でもいるのならば私はそれでいい。
もう、沢山の愛なんて望まない。
彼の瞳に私が映ることがなくても、私はそれで。
「見えている、もの…ですか。…そんな大層なものではありません」
……ただ、私には私の敵が見えているだけです。
ニコリと、上手く笑えたような気がした。
きっと、あの件より前の私よりはずっと綺麗に、上手に。
グルッペンの後ろに控えた、トントンが怪訝そうな表情を浮かべる。
グルッペンさんも私が何を言わんとしているのかはきっとわかっていない。だけど、それでいい。
だってこれは、私1人でやらなくてはいけないこと。だから。
「復讐を、したいのです」
そう、ただ復讐を。
「……は、」
ぐにゃりと、わかりやすくトントンの表情が歪んだ。グルッペンの表情が固くなったのがわかる。
「グルッペン様。これは私の……」
すう、と息を吸った。
窓の外から訓練をする兵士達の声が微かに聞こえる。
視界が、全てがクリアに見え、聞こえる。
そう、誰にも邪魔させない。
気づかれては、いけない。
これはただの、
「下克上ですわ」
___________復讐劇なのだから。
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秋人(プロフ) - パスワード掛けても公開して下さってありがとう御座います。本当に好きなお話なのでうれしいです。作者様に無理のないように過ごして下さい。 (2022年3月12日 23時) (
レス) id: 3a6567d6ac (このIDを非表示/違反報告)
よにん - 前に見かけてまた見たいと思っていてまた見れて嬉しいです。応援してます！ (2020年6月24日 15時) (レス) id: 3491a11aac (このIDを非表示/違反報告)
鬼雷 - 初コメ失礼します!少し前に見つけてひっそりと応援しておりました!ストーリーが凄く好きで先が凄く気になります!作者様のペースで頑張ってください!更新されるのを楽しみにしてます!完結まで追いかけます!頑張ってください! (2020年6月24日 0時) (レス) id: 15f01a3427 (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴(プロフ) - 茄子さん» 教えてくださりありがとうございます！！これからも頑張ってください！！他はもう素敵な話ばかりで読み入ります！もしもあったら聞かせてもらいます…！ (2020年6月17日 19時) (レス) id: c59a6d75f0 (このIDを非表示/違反報告)
茄子(プロフ) - りんご飴さん» コメントありがとうございます！ありがとうございます！泣きます(；；) 手首を掴んだのはsypさんです！いえいえ、分かりづらかったかもしれません……。ごめんなさい(；；) 分からないところがあればジャンジャン聞いちゃってください！ありがとうございました(^_^) (2020年6月16日 20時) (レス) id: 8809630e87 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子 | 作成日時：2020年4月6日 21時
