第416話 朝から鍋で元気百倍 ページ6
ビール瓶を入れる箱を踏み台にして、台所の上に肉を置く。
当たり前だが台所も大人用なので、Aには少し大き過ぎるのだ。
ただしこちらは保存棚に比べて低いので、先程見つけた箱で十分対応できる。
「あ、っと」
さあ調理しよう、という段階で、能力を解除するのを忘れていたことに気付く。危ない危ない。
使わない時はこまめに解除しておくようにと、せんせーに言われていたのだった。
「“解除”」
頭のてっぺんから何かが抜け落ちていくようなこの奇妙な感覚は、きっと他の誰も味わったことのない体験だ。
「やるぞー！」
イノシシの肉は調理したことなら何度かある。流石に捌いたことはなかったけど。
食べる人はいっぱい居るんだし、なるべくカサ増し出来るのがいいだろ。
そう考えれば、最適解はすぐに思い付く。
「やっぱナベだな！」
肉の下処理だけ終えてから、一旦外に出て裏に回る。
野菜は裏の畑から使う分だけ収穫する、というのがここでの生活スタイルなのだそうだ。
まだ少し薄暗いが、野菜の種類の判別はつく。
葉っぱや萎んだ花で区別をつけながら、目ぼしいものをもぎ取っていく。
「これとーこれとー・・・あ、これも」
採り過ぎるといけないので程々に。それでも少ないと足りなくなるので、結構難しいところだ。
何種類か見繕って、さっと水で土を洗い落としてから台所に戻る。
「うんしょっ」
台に登り、本格的に調理を開始する。
出汁はイノシシの骨。削ぎ落としきれなかった肉から旨味が出るし、味は十分つくだろう。
野生の肉独特の臭みは、生姜等の薬味を一緒に煮たので問題なし。
持参していた寸胴鍋で下地の汁を煮込んでいる間に、先程獲ってきたばかりの野菜と、下処理を終えた肉を食べやすい大きさに切っておく。
後は出汁のアクをこまめに取り除いて、良さげなところで骨を引き上げ、切ってあった具材を投入。
「・・・うん、まあこんなもんかな」
一応味見もしておく。イノシシの鍋、つまり牡丹鍋だが、久々に作ったにしては上手く出来たらしい。
いつもなら兄貴に味見を頼むのだけれど、今はまだ眠っているので仕方ない。
「うおっ！？おめェ、Aじゃニーか！？こんな時間に何してんだ！？」
そこで、丁度後ろの方から驚いたような大声が聞こえた。
そこに居たのは、自分と同じくらいの背丈の山賊。
「あ、ドグラ！おはよー！」
敬語はやめてくれと昨日言われていたので、タメ口で挨拶する。
第417話 朝から鍋って結構いけるもんです→←第415話 居候少女の朝は早い
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師走(プロフ) - 平野澪さん» 先日に引き続きありがとうございます……！！少し更新ペースは遅くなりますが、気長にお待ちいただけると幸いです……！！ (2022年6月8日 14時) (
レス) id: 5000983d6f (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - ほんとに面白い！！ずっと応援しています！頑張ってください！ (2022年6月7日 21時) (レス) @page30 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 平野澪さん» コメントありがとうございます！！大好きと言っていただけて、とても光栄です……！！ (2022年6月3日 7時) (レス) id: bdf3575371 (このIDを非表示/違反報告)
平野澪(プロフ) - 面白かった！！！！大好き♡ (2022年6月3日 0時) (レス) @page28 id: 46f0f08380 (このIDを非表示/違反報告)
師走(プロフ) - 団方さん» 今回も本当に長い間開けてしまい申し訳ありません……！本当にお待たせしてしまいますが、絶対に途中で失踪などはしませんし、完結させますので、よろしければ読んでいただけると幸いです……！乾燥ありがとうございます！励みになります！！ (2021年10月10日 15時) (レス) id: 5000983d6f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やっすん | 作成日時：2018年10月26日 19時
