ドS上司２【黄】 (ページ9)

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まだ前の人がチェックアウトをしていないらしく

フロントに荷物を預ける。

それから旅館の人とツアーのサービス提供のお話をして

プランに入っているものの下見へ行った。

中「はあ～、かわいい」

「部長…、(笑)」

いろいろ回りながら打ち合わせをして

最後に動物のふれあい広場に行くと

いつも厳しい中間部長がふにゃあっと柔らかくなって

すっごい幸せそうな顔で動物を抱いていて

中「たまらんわ、」

「動物お好きなんですね」

中「うん、めっちゃ好き」

そう言ってもう夕方になるのになかなか出る気配がない。

「ほら部長、そろそろ行きますよ」

中「え～、もうちょっと」

「それ何回目ですか」

だけどまだ打ち合わせだってあるから

なんとか説得して旅館に戻る。

中「次は温泉やな」

「そうですね、1番目玉ですもんね」

中「ちゃっちゃ入りにいこ」

私の企画したツアーの目的は

この辺りの温泉街をまわる、というものだから

動物のふれあい広場はおまけみたいなものなのに

中間部長にとってはそうではないらしく

ちょっと悔しい気もするけど

いつもは見られない部長が見られたからいいかな、なんて。

「すみません、鍵お願いしてもいいですか？」

旅「はい、中間様ですね。…こちらになります」

「ありがとうございます」

渡された２つの鍵を見て

なんだかがっかりとした気分になる。

まあ仕事で来てるんだから会社もそりゃ２つ部屋とるでしょ

そうわかってたことなんだけど

少し悲しい気持ちになってしまう。

「部長、鍵どうぞ」

中「ん、ありがと」

隣同士の部屋だから部長と並んで部屋へ向かって

中「じゃ、用意できたら呼びに来て？」

「はい、わかりました」

バタン、と閉まるドアを見て

そうじゃん、仕事だもんね

そう、少しでも同じ部屋がいいと思った自分を恥じた。

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