35 〜太宰治side〜 ページ36
｢それは来年、再来年……その先にでも着ればいい｣
ふわりと、至極優しく微笑むと、芥川くんはこくりと小さく頷いた。
先日、告白プランを立てたのだ。芥川くんがAを好きなことはもうバレバレだしAが芥川くんを好きなのも分かる。
そう、気付いていないのはお互いだけなのだ。何とも初々しくて笑ってしまう。……お似合いだとは、思うけれど。
そんな二人がくっつくのはもう時間の問題なのだけれど、せっかくなら最高のシチュエーションを用意してあげたい。
そこで、花火大会。
定番と言えば定番……けれど多くの乙女の夢でもある。浴衣を来て、綺麗な花火を見ながらの告白はドキドキするだろう。
｢けれど……僕は何と言えば良いのか……｣
｢はぁ？おい芥川、手前まだそんなこと｣
｢まぁまぁ、落ち着いて｣
……と、プランを立てたものの。肝心の本人がこれだ。恋愛経験のない彼からすれば告白の仕方なんてさっぱりなのだろう。
でも、告白の仕方なんて皆それぞれなわけだし、私たちがどうこう言った所で上手く行くとも限らないし、なら本人がたくさん悩んで伝える方が良い。
それに優しいあの子は、どんなに不器用で不格好な告白をされたとしても、きっと受け入れてくれる。
｢君は、Aの何が好きなの？どこに惹かれたの？｣
｢それは……｣
｢はーい、私ができるのはここまでー。あとはちゃんと自分で考えて、君の言葉で伝えなよ｣
ふいっと芥川くんから視線を外す。これ以上のヒントは出せない。こっそりと中也に目配せすると面倒くさそうにため息を零された。
｢おい芥川。そろそろ太宰連れてさっさと帰りやがれ｣
｢……はい｣
｢じゃ、帰りますかー｣
ソファーから立ち上がり玄関まで歩いていく。芥川くんがその後を着いてくる。俯いたまま何か考え事をしている様子が見えて、思わず目元と口元が緩む。
｢……成長したね｣
ぼそりと呟いた言葉は彼には聞こえなかっただろう。その事に少し寂しさを覚える。
けど、それでいい。
頭の中をいっぱいにするのは、彼女のことでいい。
元上司として、幸せになるためのサポートを精一杯してあげよう。
それが、彼にしてあげられなかったことの代わりになればなんて……ずるいかもしれないけれど、今の私にはそれくらいしかできないのだ。
｢花火の日、晴れるといいねぇ｣
胸の中で渦巻く様々な気持ちを打ち消すように、能天気に呟いた。
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さくら餅(プロフ) - 紅玉さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました！無事完結させることができて心底ほっとしております。私は貴方様のコメントにギュンギュンしました！笑本当にありがとうございました！！ (2021年2月7日 15時) (
レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
紅玉 - 完結おめでとうございます！！！！尊いのと可愛いので私はギュンギュンしまくってました！！！！(ギュンギュンとはキュンキュンの進化系です！！！！) (2021年2月7日 12時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 人虎に会いたい…。 ｂｙ芥川 (2020年12月1日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 厳しいわ。 (2020年12月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ☆天香☆さん» ありがとうございます！！すっごく嬉しいです！文ストはキャラクターひとりひとりが個性的で大好きなので、つい絡ませちゃいます笑コメントありがとうございました！！ (2020年3月12日 21時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら餅 | 作成日時：2019年10月4日 16時
