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赤い糸7 ページ7

案の定、小テストはボロボロで。苦手な数学だったからってこともあるんだけど……それも言い訳になってしまうかな。


追試よりも、その対策の為の勉強の時間で事務所に行けないのが憂鬱だ。机に突っ伏してうぅ、と唸る。


「あれ、中学生じゃない?」

「何でだろう?塩中……?挙動不審だけど」


クラスメイトがひそひそと話す声が耳に入る。教室の扉の方向を向くと、見知った姿に気が付く。


「モブくん……?」


恐る恐る、扉の方へ行ってみると彼が私を見る。安心したように強張った表情を緩める姿に、私を探していたのだと認識する。


わざわざ高校まで来てくれるなんて、よっぽどの用事なのかな。


「あ、えと……いきなり来てすみません」

「ううん、いいよ。ここまで来るの目立ったんじゃない?大丈夫だった?」

「はい。いっぱい見られたような気はしましたけど……大丈夫、だと思います」


未だきょろきょろと視線を彷徨わせるモブくんは相当緊張しているみたいで、初々しくて笑ってしまう。


「何か、用があったの?」

「はい。実は今日、事務所に律が来るので是非来てもらえたらと」

「本当!?最近会えなかったから嬉しい〜!」


実際、中学に上がってから姿を見ていない。制服になって大人っぽくなってるだろうなぁ。


一人で想像して微笑ましい気分になる。影山兄弟は一人っ子の私の弟みたいなものだから、凄く可愛い。


「律くん、生徒会に入ったんでしょう?」

「はい。ずっと使いたがっていた超能力にも目覚めて曲げたスプーンを直してくれます」

「そうなんだ!良かったね」


律くんが持つ超能力への執着心は私でも感じ取ることができた。


……それは、少し怖くなるくらいに。


超能力に目覚めたのだとしたら、初めは悪用したりなんてこともあったのかな。でも、モブくんがこんな風に喜んでいるのなら色々解決した後なんだろう。


「超能力に目覚めて、大人の超能力者にさらわれたんですよ。あの時は律が凄く心配だったんですけどその時も師匠が助けに来てくれて」

「へぇ、霊幻さんが?」

「はい。おかげで僕らは無事に助かってやっぱり、師匠は大人なんだなぁって思いました」


モブくんの言葉に、無意識に胸が締め付けられる。霊幻さんが大人だなんて……分かっているのに。


私とじゃとても釣り合わないことも、意識してくれないことも分かるのに。


側にいられるだけで十分すぎるくらいなのに、それが嫌でたまらないのは……欲張りかな。

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設定タグ:モブサイコ100 , 霊幻新隆 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛
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さくら餅(プロフ) - 抹茶さん» ありがたいお言葉頂けて光栄です!!もどかしい時間が長かった分、きっと未来では二人で幸せに暮らしてます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
抹茶(プロフ) - とっっっっても面白かったです!!未来の2人が幸せに暮らしているところが自然と思い浮かびます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: b5b208b71b (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます。嬉しいです!応援は執筆の力になりますので頑張ります( ´∀`) (2019年5月2日 15時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - この作品もお話とっても素敵です!作者様の事陰ながら応援しています!体調に気をつけて無理をなさらずに更新頑張ってください! (2019年5月2日 15時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年5月2日 12時

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