赤い糸23 ページ23
「は、れ……霊幻、さん?」
バイトの帰り。商店街を通ると霊幻さんの姿が見えた。
ただ、私の声は届かない。だって……テレビの向こう側なのだから。
「怪奇探偵、霊能力は実在するのかスペシャル……しかも、生放送」
胸騒ぎがして、急いで帰宅しようとその場を離れる。
最近、会わないうちにこんなに有名になっていたんだ。私が知らないうちに努力を、重ねていたのかな。
あの時のこと意識してたのは、やっぱり……私だけ?
「ただいま!テレビつけて!!」
「おかえり、霊幻さん出てるわよ」
「それ!」
バタバタと忙しなく靴を脱ぎ捨てると、スライディングするようにテレビの前に食い付く。
「霊幻さん……」
「いつも配達頼んでくれる人が有名になってたなんてびっくりね」
「これ、今もしかして除霊して……?」
「うん。なんか三十分前くらいからね」
思わず頭を抱える。……あの人に霊能力なんて欠片もないのは知ってる。除霊なんてできないのにフリなんかして絶対ボロが出る。
「浄堂さんまでいるのに……」
霊幻さんと出会ってから霊能力関係の人をチェックするようになったけど、この人は本物でしかも人望が厚い人だ。
「この人を、敵に回したりしてないよね……?」
心配の目を向けてテレビを見ていると、やっと進行したようだ。
だけど、なんだろう。様子が変だ。
画面の向こうで明らかに動揺する姿。上手く回らないトーク。視聴者からの疑いの目。
明らかに、霊幻さんが邪険にされているのは一目瞭然だ。
「A……」
「お母さん……私……」
泣きそうな顔の、痛々しい私を見てお母さんが心配している。
結局、霊幻さんがニセモノというレッテルを貼られて番組は終了した。
「こんな……酷い」
言葉が出てこない。ただ、唇を噛み締めていることしかできなかった。
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さくら餅(プロフ) - 抹茶さん» ありがたいお言葉頂けて光栄です!!もどかしい時間が長かった分、きっと未来では二人で幸せに暮らしてます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
抹茶(プロフ) - とっっっっても面白かったです!!未来の2人が幸せに暮らしているところが自然と思い浮かびます! (2019年9月2日 19時) (レス) id: b5b208b71b (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます。嬉しいです!応援は執筆の力になりますので頑張ります( ´∀`) (2019年5月2日 15時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - この作品もお話とっても素敵です!作者様の事陰ながら応援しています!体調に気をつけて無理をなさらずに更新頑張ってください! (2019年5月2日 15時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年5月2日 12時