赤い糸19 〜霊幻新隆side〜 ページ19
「ん、美味しいです！」
箸を器用に使いながら、松茸を食う姿。そんな当たり前の光景にもつい頬が緩んでしまう。
「それにしても、こんなに大量に……食べきれるんですか？」
「んー、まぁモブとかお前とかに消費手伝ってもらうから」
「毎日はさすがに飽きますけど……少し持ってかえってお母さんに調理してもらうなら良いかもです」
「じゃあ頼むわ」
誰かと飯を食うなんてのは、家を出てからは徐々に回数が減っていった。
だからこそ誰かと食事をするってことの暖かみをよりいっそう感じる。一人だと自炊も面倒で外食が増えるし。
「お米は炊いてあるんですね」
「あぁ、お前が前に飯作ってくれただろ？」
「え、まさかそれをまだ食べて……？」
「んなわけあるか！だいたいもう腐ってるだろ？」
「冗談ですよ〜」
下らない無駄話が楽しめるようになったのも、モブやこいつと出会ってからだったな。
こいつらは、不思議だ。俺の空いた心の隙間に無遠慮に入ってきて散々喚いてとっ散らかしていく。
退屈な、灰色の日々に色を塗りたくってカラフルに景色を染めていく。
「レトルトのやつも美味いし、時間かからねぇから良いと思ってたんだけどな。お前の飯食ってからは自炊した料理食おうと思って」
手間をかけて作るのは正直面倒だけれども。それでも自炊した飯は、電子レンジで温めたものより温かくて美味いんだ。
それに気付かせてくれたのもこいつだ。
「良かったです、霊幻さんの生活力なさすぎて心配だったので」
「一言余計だ」
「誰かに似たんじゃないですか？」
「一丁前に皮肉言うようになったじゃねーの」
軽くデコピンを食らわせてやると楽しそうに痛がるフリをする。
何気ない会話と穏やかな時間。
不本意だが、十年先の話。こんな風に飯を食う姿が容易に想像できた。
その時は俺たちはどんな関係性だろうか。
「(俺は、どういう関係性でいたいと思うか……)」
今のまま、お前の保護者でいるか？
あるいは……踏み込んではいけない領域、こいつと堕ちていくか？
「いやいや無理だろ……」
「？……どうかしました？」
「いや、なんでも」
俺は、こいつをいつでも手放せるようにしておかなければいけない。
分かっている、はずなのに。
躊躇いが生じるのは、これから……俺とお前にとって、吉と出るか凶と出るか。
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さくら餅(プロフ) - 抹茶さん» ありがたいお言葉頂けて光栄です！！もどかしい時間が長かった分、きっと未来では二人で幸せに暮らしてます！ (2019年9月2日 19時) (
レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
抹茶(プロフ) - とっっっっても面白かったです！！未来の2人が幸せに暮らしているところが自然と思い浮かびます！ (2019年9月2日 19時) (レス) id: b5b208b71b (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ただのアニメ好き☆さん» コメントありがとうございます。嬉しいです！応援は執筆の力になりますので頑張ります( ´∀｀) (2019年5月2日 15時) (レス) id: d6eb335a4b (このIDを非表示/違反報告)
ただのアニメ好き☆(プロフ) - この作品もお話とっても素敵です！作者様の事陰ながら応援しています！体調に気をつけて無理をなさらずに更新頑張ってください！ (2019年5月2日 15時) (レス) id: 4ee9350697 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくら餅 | 作成日時：2019年5月2日 12時
