救世主 ページ17
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今日はアフレコが全部終わったということで打ち上げが開催される。顔見知りばかりだから安心。そして梅くんもいる。作中ではそんなに関わりがある役では無かったけど、収録は同じ空間で行われた。
監督が乾杯の挨拶をして打ち上げが始まった。未成年は私だけで、みんなお酒を飲んでいるから羨ましいなぁ〜と思う。飲んだ事ないから自分がどんな酔い方をするか分からない。
「あれ、Aちゃん飲んでないじゃん!ソフドリ?」
『江口さん、私未成年です!』
「そうだっけ?あ、ほんとだ!まだ18か!あれ、今年19になるんだっけ?」
『はい…』
江口さんもう酔ってる。早い。たしかに持ってるジョッキにはもうビールがほぼ無くなっていた。
打ち上げが始まって数分、ずっと隣に江口さんがいてなんか喋ってる。梅くんはどこにいるんだろうと思ったら私と反対側の隅っこで監督と話しながら烏龍茶を飲んでいた。その姿さえもかっこいい。
「ん、何見てんの?梅ちゃん?」
『あっ、えと、違くて』
「Aちゃん、梅ちゃんのこと好きでしょ」
『え!や、何言ってるんですか!』
「見てたら分かるよ〜可愛いなぁ」
酔ってるのか分からないけど、髪をわしゃわしゃ撫でて来た。満足したのか別の人の所へ去った。
ようやく落ち着いてご飯が食べられる…と思ったら次はスタッフさんが来たからお箸を置いた。
このスタッフさんもかなり酔ってるみたいで、ずっとヘラヘラ笑って「もう女子高生じゃないなら良いかなぁ」なんて、ちょっと気持ち悪いことを言ってきた。
これはやばいかもしれない、怖い。と思って立ち上がろうとしたら、手首を掴まれて、また椅子に座ってしまった。
『え…あの…私、』
「ちょっと二人で抜け出さない?もっと美味しいところ連れてってあげる」
最悪だ、壁際に座っちゃったせいで抜け出せない。どうしよう。泣きそう。視界も涙でぼやけてきた。
どうしたらいいか分からなくて思考も停止しかけてたその時、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「A、ヨシキが迎えに来たって」
『う…梅くん…』
「すいません、まだこいつ未成年なんでもう帰らせてって兄貴からの伝言なんで」
「伝言?」
「A、行こう」
『あっ…う、うん!すいません、先に失礼します。お疲れ様でした!』
カバンを持って急いで立ち上がった。すると梅くんが手を引いてくれてすんなり抜け出せた。
安心して目に溜まった涙が溢れて止まらない。
店の外に出て、気付かれないように涙を拭った。
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p@n@(プロフ) - サチさん» コメントありがとうございます!続きはしっかりハピエン(?)にするつもりではいるので泣かないでください……!こらからもよろしくお願い致します! (2021年3月17日 23時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 初コメ失礼します。ずっと読ませて頂きました。とても楽しい作品でしたが、最後でビックリしてしまいました(泣)どうか無事で…と願うばかりです。続きも頑張って下さい! (2021年3月17日 23時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - くるみさん» コメントありがとうございます!とても嬉しいです…ペースが早くて大丈夫かなと不安だったので安心しました…!これからも楽しんで頂けるように頑張りますのでよろしくお願い致します! (2021年3月13日 22時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ - 初コメント失礼します!いつもお話が進んでいく度に楽しみになっていって、、、こんなに面白いお話作ってくれてありがとうございます!続き楽しみにしております! (2021年3月13日 20時) (レス) id: 449ab25172 (このIDを非表示/違反報告)
p@n@(プロフ) - みやさん» コメントありがとうございます!お返事遅くなり申し訳ありません。楽しんで頂けて嬉しいです!これからもよろしくお願いします! (2021年2月27日 8時) (レス) id: 82332159e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:p@n@ | 作成日時:2021年2月23日 10時