【1】明日は明日の風が吹くから ページ3
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中学2年、冬
「今日からこの中学校に転校してきた名字Aさんだ」
「・・・・・・ちっす」
「・・・・・・・・・それだけ?!」
「えっ・・・・・・ あ、ハイ、」
「そ、そっか・・・・・・・・・ えーっと、名字さんは名古屋から引越してきたばかりで何も分からないと思うから学校のことも合わせていろいろ教えてあげてな、」
「「はーい」」
家庭の事情で名古屋から東京に引越してきた。東京って言っても下町だし、なんとなく地元に似た雰囲気は結構気に入った。人見知りのわたしが築き上げた友情を離さないといけなかった点は寂しいけれど、引越し先は東京だと伝えると遊びに行く!と言ってくれる人ばかりで安心してこっちに来れた。また1から友人をつくらないといけないのか、めんどくさい、そう思ったけど隣の席の男の子が「よろしくね!」と声をかけてくれたおかげでなんとかスムーズにいきそう。
* * *
「おれ、ばあちゃんが名古屋なんだよね!」
「そーなんだ!じゃあ連休のときとか行くの?」
「行く行く!矢場とんめっちゃすき!」
「名古屋人あんま食べんよ?笑」
「えっ、そーなの?!」
初めて知ったー!と、ニコニコする彼がンダホだ。今思えば隣の席がダホちゃんじゃなかったら、わたしはFischer'sにはいなかったかもしれない。
「、ンダホー!土手いくぞー!!!」
廊下から彼を呼んだのは少し背の低い男の子。背の割に、って言ったら失礼だけどガッチリとした体型に、ヤンキー?と思うくらいにはちょっと身構えてしまった。
「おぉー!」
「・・・・・・土手、?」
「あっ!よかったらAも行く?楽しいよ!」
「えっ・・・・・・でも、」
「いいからいいから!」
有無を言わせぬ速さで手を取られ、声をかけてきた人のところまで連れて行かれた。
「そいつ誰?初めて見る顔だけど、」
「今日転入してきた子!この子も一緒にいいよな?」
「、いや・・・ 邪魔したら悪いからいいよ・・・・・・」
「邪魔なんかじゃないよ!」
「そーそー!お前も来いよ!」
ニッという効果音がピッタリな笑顔。これがリーダー、シルクとの出会い。
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作者名:むぅ | 作成日時:2019年5月6日 1時