クロ短編集 【黒尾鉄朗】

迷子になりました　part2 ページ6

「…心配させんなよ…」

私は急に抱きしめられたので、
ただ驚くばかり。

「ごめん……。携帯も充電切れちゃって…」

「どれだけ探したと思ってんだよ。やっと見つけたと思ったら変な男に捕まってるし。しかもすぐに迷子になるの、昔っから変わってねぇな」

「………でも……、クロなら探して見つけてくれるって信じてた。昔からそうだもん。………ありがとう」

「………A見てると危なっかしいんだよ。よし、これからは迷子にならないように俺のそばを離れないこと。……これからずっとな」

「うん……。え？これからずっと？」

まさか。
これって………。

「………告白？？？」

「………恥ずかしいからもうそれ以上言うな」

「………私なんかでいいの？」

クロは正直言ってモテる。
それなのに、私なんかでいいのか。

「………Aじゃねぇと嫌なの」

「………あんなに女の人から声かけられてたのに……」

「お？なんだ嫉妬か？？」

「………認めたくないけど、そうです」

「あんなもんほっときゃいいんだよ。俺は昔っからAしか見てない。で、返事は？」

「……私もずっと好きだった。よろしくお願いします…。そしてお騒がせしてすみませんでした」

クロに頭を下げる。
するとクロは笑って私の手を握った。

「よし、それじゃあ帰るか」

2人で手をつないで帰る。
迷子は困るけど、

クロが見つけてくれるから。

これからもよろしくお願いします。

fin.

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