8 ページ8
次の日起きたら、もう時計はてっぺんをゆうに過ぎていた
もう若くない身体にやけ酒ほど悪いものはない
それでもお酒に頼ってしまうのが大人の悪い癖
昨晩死んだように寝た私の顔は
それはもうすごいことになっていた
これが20歳だったら…
考えて余計にむなしくなって大人しくお風呂へ向かう
・
二日酔いの胃に優しいお味噌汁を作って
少しのおかずと一緒に身体に入れる
一息ついて部屋を見渡せば
あまりの悲惨さに思わず自分で笑ってしまった
残業続きのせいで掃除はおろか、
取り入れた洗濯物でさえそのまま
至る所にプリントは散らばり、本棚は大変なことになってる
女としてはさすがにこれはダメだ
・
食べ終わった食器を洗い、
洗濯をしている間に掃除をすませる
さて、後はあのブラックホールという名の本棚の片付けか
新しい本とか雑誌とかマンガとか
買ってはくるくせに古いのを整理しないから
もはや何があったかさえ私自身わかってない始末
少し背伸びして
一番右上にあった本を取り出した瞬間
降ってくる大量の本と資料たち
「……っいっっっった！」
もう〜〜〜、
少し優雅に過ごしていたと思えばこれよ
なんだかなぁと何気なく手に取った本
表紙をめくって出てきたのは1枚のチケットだった
裏にはお世辞にも綺麗とは言えない文字が並ぶ
“A！お誕生日おめでとう！！！”
翔太の声で再生される言葉たち
閉じ込めていた思い出が一気に蘇る
あぁ、ダメだ
最近よく翔太を見るからだろうか
すぐ5年前に引き戻される
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1604人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らいな
| 作成日時：2020年4月2日 22時
