私が思い出すあなたは私を愛しているよ【青】 (ページ34)

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今日は後輩の久部(クベ)くんを連れての同行アポイント

久部くんに任せておいた資料の印刷部数が違ったことに直前で気づいて
乗る予定だった時刻のより一本遅い電車に慌てて滑り込んだ

幸い今日のクライアントは
もう何年もお世話になっているところ
担当者の方もすごく可愛がってくれているので
多分遅れても笑って冷たいお茶を出してくれる

そんな想像は容易いのだけれど
だからといってその好意に甘えるのは違うと思うの
そこはやっぱり社会人としてしっかりしなきゃね

・

久「Aさん！はやくはやく！」

A「いや誰のせいで遅れそうになってると思ってんのよ」

なぜか久部くんに急かされながら
駅を出て慌ててクライアントのところへ向かう

遅刻の原因はどう考えてもその久部くんのせいなんだが
チェックが直前になってしまった先輩の私にも責任はあるわけで
渋々久部くんの背中を見ながらヒールを鳴らした

「っA！！！」

突然呼ばれた自分の名前に足が止まる

『っ、』

忘れるわけがない
何度も何度も思い返した愛しい人の私の名前を呼ぶ声

自分の心臓の音が聞こえるくらい
一気に緊張がはしるのがわかる

っなんで、

なんで、翔太がここにいるのだろう

まだ彼は私を覚えてくれているの…？

泣きそうになるのをぐっと我慢して
ひとつ深呼吸をして振り返った