私が思い出すあなたは私を愛しているよ【青】 (ページ33)

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渡辺side

いい感じにお腹も膨れて
もう少しぶらぶらしようとまた2人で歩き出した瞬間、

「Aさん！はやくはやく！」

A「いや誰のせいで遅れそうになってると思ってんのよ」

”A”

俺にとってタイムリーすぎるその名前に思わず振り向く

視界に入ったのはまさしく、
俺が会いたいと願っていた人だった

ショートだった髪は綺麗に巻かれて胸まで伸びてて
いつも頑張って整えていた前髪は長い髪と一緒にかきあげられていた

薄いラベンダー色のトレンチコート
細身のネイビーのパンツスーツ
少し高めのピンヒール

思った通りだ
すげぇ、綺麗になってる、

しょっぴー？って呼ぶ樹の声で我に返る

『っ樹、ちょっとごめん！』

樹「っは！？」

驚く樹を置いて、気付いたら走り出してた
その小さな背中を見失わないように

『っA！！！』

人混みをかき分けて
この5年間何度も心の中で繰り返した名前を叫ぶ

トレンチコートが綺麗に揺れて
振り返った君の視線とぶつかった