32話 ページ34
━ジュナイパーsaid━
オレンジのヘアバンドをした男がエレベーターに乗った。そして、エレベーターのドアが閉まったのと同時にルナアーラはサイコキネシスをするのを止めた。
「お主、何を考えている?」
静かに言うと、ルナアーラは小馬鹿にした口調で言う。
「貴様も、我と同じ考えだと思ってな。勇敢な貴様も、今回ばかりは役目から逃れようとしていたのは勘付いておった。」
何もかもお見通しと言うべきか。複雑な心で拙者は言う。
「今回だけは、主殿の言葉には従いたくはなかった。前から薄々気づいていたが、主殿は元に戻れなくなった。今回の主殿の言葉は本心だ。今まで、冗談ばかりと思ったが主殿は本気だったとは……やはり、止めるべきだったのだ。」
「止めたとしても、いずれこうなっていただろうな。むしろ、丁度良い機会だ。あの人間がどれぐらい、我が主を正気に戻せるか見物じゃないか」
そう言い、ルナアーラは嗤った。
「それにしても、サイコキネシスにかかったフリはなかなか面白かったぞ?」
「小馬鹿にしおって……。お主は主殿のことはどう思っている?」
そう言うと、ルナアーラは目を細めた。まるで、今までを懐かしむように。
「最初は、そこら辺にいる人の子だと思ってな。けど、いつの間にか主のこの先を見たくなってな。たとえ、壮絶、奇劇なことになっても自分の想いを貫き通せる。滅多にない人の子だと思ってな。ずっと主の側にいるのが楽しかったんだがな…いつ、道を間違ったのか…」
そう言い、ルナアーラは目を閉じた。
「拙者も同じだ」
そう言った言葉は、静寂に静まりかえったフロアに虚しく響いた。
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ナノセンチメンタル(プロフ) - ついに続編が出ました。ここまで続いたのは皆様のおかげです。続編のタイトル名が変わってますのでお気をつけください。なお、続きは来週の水曜日あたりに更新します。 (2020年2月23日 20時) (レス) id: 0e87ed2dba (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - ナノセンチメンタルさん» 続編ですか…良いですね(^_^;)是非とも読ませていただきます。 (2020年2月10日 19時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
ナノセンチメンタル(プロフ) - コメントありがとうございます!読んでくれた方が楽しんでもらえるような小説をこれからも書いていきたいと思います。この作品の続編も検討しているので、興味があったらぜひ読んでください。続編の報告は、コメント内で報告します。 (2020年2月7日 21時) (レス) id: 0e87ed2dba (このIDを非表示/違反報告)
陽香 - 面白い作品です。更新頑張って下さい。 (2020年2月6日 21時) (レス) id: 7be101f077 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナノセンチメンタル | 作成日時:2019年12月20日 21時