29話 ページ31
夜になり、今私は次の戦闘のための埴輪を大量に作っているところだ。ルフィやウソップ、チョッパーは錦えもんに鎧兜を出してもらったらしく、羨ましかったので私もお願いした。戦国武将ってかっこいいから結構好きなのだ。上杉謙信の兜が中でもお気に入りなので、それっぽく注文した。
「なかなか似合ってんじゃねェか！」
「小さなお侍さんですねーヨホホ」
フランキーとブルックに褒めてもらえたので、ちょっと気分がいい。
「どうせなら、埴輪兵団にも鎧兜を装備しようかと思ってんだ！」
「今の埴輪さん達より、更に強力に？それは頼もしい！」
とは言え、親指サイズの埴輪なので、なかなか根気が入りそうだ。昼間にたくさん寝てしまったせいで眠くないのでいつもより少し遅くまで起きて作業をした。
…
ブルックの歌で目を覚まし、皆で朝刊を広げると、そこにはドフラミンゴの七武海脱退の文字があった。
そう簡単にやめるとは思っていなかったが、まさかこうも簡単に動くとは…
なんだか信じられないような気でいた。
「これが如何に重い取引かわかったろう？
俺達はただ、シーザーを誘拐しただけ…それに対し、奴は10年間保持していた国王という地位と略奪者のライセンス、七武海という特権をも一夜にして投げうってみせた。
この男を取り返す為にここまでやったのが奴の答え！
こいつを返せば、取引成立だが…」
トラ男はそう言って、でんでん虫を用意し始めた。
プルルル…
甲板に緊張がはしる。
ガチャ…
「俺だ…七武海を辞めたぞ」
抑揚のない低い声に息が詰まりそうな恐怖を感じた。
「もしもし、おれはモンキー・D・ルフィ！海賊王になる男だ！」
「お前、黙ってろつったろ！」
トラ男の手にあった受話器を奪い取り、ルフィは自己紹介を始めた。その様子を見ていると、肩の力が自然と抜けた。
怖くない…
今は1人じゃない…
大丈夫…
あの時とは違う…
ちゃんと修行して、力をつけた…
もう私はれっきとした海賊だ…
静かに大きく深呼吸をした。
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年6月20日 18時
