19話 ページ21
「お前もいいザマだ…ロー。シュロロロ…ヴェルゴには手も足も出なかったんじゃねェかァ？お前との契約が役に立ったようだ」
契約？
「やはり、人は信用するものじゃない。自業自得というやつだ。身をもって分かったはずだが、お前の心臓はヴェルゴが持ってる」
契約ってまさか、自分の心臓をシーザーに渡したのだろうか？確かに七武海に入る為に100個の海賊の心臓を差し出したとか…新聞を賑わせていた。取り返すべきものって、そういうことか。私達に協力を求めたのも、この為…
ヴェルゴは心臓を見せつけるように握る。
「うわァッ！」
突如として、トラ男は声を上げてのたうち回った。
「さすがのお前でも気付きようがなかったろうが、モネが気を利かし、姿を変えてお前を尾行していた。話は筒抜けだ。俺は残念だぞ、ロー…折角いい友人になれたと思っていたのに…」
シーザーはさも悲しいという顔をする。トラ男は息を切らしながらも、余裕そうな表情を作る。でも、それが虚勢だということは誰にでも分かることだ。
私が今能力を使えば…
私の考えに気づいたのか、ロビンが私の目を見て首を横に振る。
ロビンの言う通り、冷静にならないと…
今動けば、皆んなが危険な目にあう。私だけが動けても意味がない。
「優秀な秘書に救われたな…もっとモネを警戒しておくべきだった。マスターがあんまりマヌケなもんでナメきってたよ」
シーザーは怒りに顔を歪ませ、ヴェルゴの手にある心臓を握る。
はっきり言って見てられなかった。誰であろうが、こんな一方的に人を痛めつけるなんて…非道だ。何もできなくて、悔しかった。
〜〜
ローside
ヴェルゴに心臓を握られ、痛みで我を忘れそうになる中、隣にいた造形屋が薄っすら目に入った。
不安げな表情で、目には涙が浮かんでいた。
何で、俺より苦しそうで、辛そうな顔してんだ…
同盟相手にそんな心配をするなんて馬鹿だなと思いつつも、自分の身も危険に晒されている中でも、俺を思ってくれていると嬉しく感じる自分がいた。人のことを言えない程俺も馬鹿なのだろう。
声を掛けて、安心させてやりたいが、今の俺にはその資格はない。
俺の計画に巻き込んだのだから…
だが、そんな悲しそうな顔ではなく、あの時見せたような笑顔を見たいと願うくらいは許してはくれないだろうか？
ーー
異世界人
・自然治癒力が極端に低い
・能力者でもカナヅチにはならないし、海水で力が抜けたりせず、海楼石が効かない
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作者名：あんころ | 作成日時：2021年6月20日 18時
