誂えられた異世界人 (ページ3)

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2話ページ3

7万ベリーの収入を得たところで30番グローブで屋台をやっているおばさんに本屋と趣味の埴輪作りに必要な粘土を売っている店のおすすめのところを聞いてみたところ21番グローブがいいとのこと…

来てみたはいいが、思っていた以上に物騒な町だった。恐らく海賊であろう男たちが横行している。目をつけられると面倒臭そうだ。

神秘的で幻想的なシャボンディ諸島も、ここのような裏と先ほどまでいた30番グローブのショッピング街のような表があるんだ…

たまに街の中で一際目立つヒューマンショップ…名前の通りの店なのだろう…出入りする人間なんて見るからに腐ってる奴らばっかだ…あまり長居したい場所ではない。

「お？本屋発見…」

少し暗い気持ちだったのが、急にテンションが上がる。外観からしてアンティークな雰囲気がお洒落で一目で気に入った。私は少し鼻唄を歌いながら、店内へと入る。

「おー…」

店内は知る人ぞ知る隠れ家的な店という感じで掘り出し物とか沢山ありそうだ。古い本ばっかりだけど…

1時間程だろうか…店を散策し、2冊ほど良いものを見つけた。思っていた以上の蔵書量で、しかもホコリだらけで手間取った。だからまだ全ては見れていない。

バンッ

ホコリが目に入ったので目を擦りながら、歩いていると誰かにぶつかった。こんな狭い通路でちゃんと周りを見ていなかった私の落ち度だ。

「すみません」

「こちらこそすみません…」

自分でも思っていなかったほど、丁寧な返しだったので、驚いて顔を上げると…そこにはシロクマがいた。

「ここは御伽の国か？」

「え？」

「えぇと…こっちの話です。お気になさらず」

いやいや…考えてみろ！うちには喋るトナカイが居るではないか。何を今更驚く必要がある。

「…」

「…」

ダメだ。言葉が浮かばない…何？この微妙に気まずい雰囲気…私ここ立ち去ってもいいのだろうか…

私は自分にそんなことを言い聞かせて、立ち去ろうとした。

「キミすごいね…子供なのにそんな難しい本読めるなんて」

話しかけられたら、逃げるに逃げれないじゃない。

しかもよくみたら可愛い…いや、語弊がある。よく見なくても可愛かったわ。

でもシロクマにまで子供扱いされるとは…まぁ、でも褒められてるからそんなに気にならないかも…しれない。

「そんなことないよ！シロクマさんもお喋りできるなんてすごいね！」

とりあえず、恥は捨てた。