誂えられた異世界人 (ページ18)

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16話ページ18

トラファルガーの頭に置かれたチョッパーは残念ながら、すぐに降ろされ、刀の組紐で吊るされた。チョッパーが人形のように見える。少し可哀想だ。

「シーザーは四年前の事件で犯罪者に成り下がった元政府の科学者だ。立入禁止のこの島に誰かがいるという事実が漏れれば、あいつは絶好の隠れ家を失うことになる。だからお前らを全力で殺しにくる」

トラファルガーは一拍置いて続けた。

「懸賞金3億ベリー。殺戮兵器を所持するガスガスの実、ロギア系の能力者…覇気が纏えない者は決して近づくな。ただの科学者じゃない」

懸賞金の額とロギア系の能力者である事実に緊張感が漂う。

「こっちで覇気使えんのはおれと、ゾロとサンジとAと…あとお前だろ？」

「まぁ、充分だ。俺は一足先に研究所へ戻る」

「で、そのマスターをおれとお前で誘拐すりゃいいんだな？」

…珍しくルフィが作戦を聞いている。しかも結構分かってるようだ。

「そういうことだ」

「誘拐して身代金取るの？」

「目的は金じゃない。混乱だ。成功してもいねェのにその先の話を今する意味はない。とにかくシーザー・クラウン捕獲に集中しろ。決して簡単じゃない」

…

「トラファル…トラ男！」

「！」

私の声に驚いた様子で振り返った。が、トラ男は難しいそうな顔をしていた。トラ男ってダメだったのだろうか。これから同盟を組むのだから、親しみを込めてそう呼んでみたが…

「何の用だ？」

「いや、用はないけど…妙にピリピリしてないか？」

私までピリピリ具合が移ってくるぐらいだ。四皇を相手取るとなると、七武海様でもやっぱ緊張するものなのだろうか。

私はトラ男にしゃがめと言った。

「！？」

案外すぐにしゃがんでくれたが、顔を近づけると物凄く驚かれた。耳打ちしようとしただけで、そんなに驚くようなこととは思えないが…

「うちの船はいつもこんな感じだから、そんなに張り詰めてたら、四皇を相手にする前に疲れるぞ。あと、ルフィ達が思い通りに動くわけないから、操ろうと思ってるなら、早々に諦めることをオススメする」

そうとだけ言うと、トラ男から離れる。

「2人でコソコソ何話してたんだ？」
「なんだ？やっぱ仲良いんじゃねェのか？」

ルフィもウソップも変な勘違いをしているようだ。私はトラ男にちょっとの牽制とルフィの仲間としてアドバイスをしただけだ。