HERO.158 ページ26
目が覚めたそこは、
見慣れた保健室の天井だった。
(……てことは)
試験、終わった？
『マジでか！？……いっ！？』
ズキンッと傷んだ左手。
これでもか、というほどに包帯がグルグル巻きになっている。
そして、右腕にはお馴染み点滴。
「今回も無茶したねぇ、水森」
『り、リカバリーガール……』
「左は粉砕骨折ならびに肩の脱臼。
リカバリーするには体力も足りんから、徐々にだね。
ったく…オールマイトもやりすぎだっての」
『ハハッ……でもおかげで、自分の未熟さが、より鮮明になりましたよ』
オールマイトという圧倒的な力を前にして、
私の力は足元にも及ばなかった。
(目標は、高いな)
「それより、隣で爆豪が寝てるから、静かにしんしゃいよ。
あたしゃちょっと外出るから」
『はーい』
隣にカーテンがかかってると思ってたら、
勝己が寝てるのか。
よし、落書きしようか。
リカバリーガールの机からマッキー(油性)を取って、勝己のベッドへ。
『おじゃまんぼ……って、なんだ、起きてんじゃん』
「てめぇ……その右手にあるやつなんだゴラァ……」
『え？なんのこと？』
サッ、と背中に隠すが、
勝己にはバレバレだ。
てか、目。目の角度。
えげつねぇ。
『体、どうよ』
「なまりみてぇに動かねぇ。うぜぇ」
『そりゃぁ、あんなにやったもんねー』
ケラケラ笑っていると、勝己は真っ直ぐ天井を見て、何も言わない。
『え、なに。怖いんだけど』
「…」
今度は私の顔を見て、沈黙。
え、なに。
ホント。
怖い。
「………………………………ブス」
『おいこら殴るぞゴラ。点滴パンチしたるかゴラ』
沈黙の果ての言葉がそれかよ。
なんなん？
おま、
なんなん？
『あ！！そう言えば試験の結果は！？合格！？不合格！？』
「あー……そりゃあ「かっちゃん！！！Aちゃん！！！」クソナードうるせぇ！！！」
『いやお前もうるせぇよ』
保健室に勢いよく入ってきたのは、
やっぱりボロボロのデクくん。
「ご、ごめん！」
『ねぇねぇデクくん！試験、どうなった？』
「あ、ああ！合格だってさ」
ニッコリ笑うデクくんに、
私は胸を撫で下ろした。
よかった。
『あのあと、ちゃんとゴールしてくれたんだね。
ありがとう』
一か八かの賭けだった。
どうやら信じて正解だったらしい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 754人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆあ - こんばんは。コメント失礼致します。とても素敵な作品で楽しく読ませていただいております！ですが特別編の勝己くんと一緒 3にて「北朝鮮」を表現の一部として使われておりますが、こちらは取り消したほうが良いと思います。国際問題に関することですので。 (2018年5月17日 1時) (
レス) id: 4b4b197e1d (このIDを非表示/違反報告)
ノア - 特別編の3人との話しがもう最高すぎてやばいです！本編もおもしろいです！更新がんばってください！ (2018年3月11日 21時) (レス) id: 42849da78e (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 初めましていきなりですが本編の続き気になりすぎます！！続き早く見たいので更新頑張ってください！！！！！ (2018年2月11日 3時) (レス) id: b07e3f90c5 (このIDを非表示/違反報告)
moe(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてます！ (2018年1月30日 21時) (レス) id: 8ed7a0d951 (このIDを非表示/違反報告)
ルッカ - あぁぁぁぁめっっっちゃ続きが気になる……応援してます！頑張ってください！ (2018年1月4日 0時) (レス) id: e083ca4c6c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：絞凛 x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/gen.php/novel/
作成日時：2017年8月8日 1時
