何万回だって、「君が好き」２

４ ページ4

くすって笑って、
今度は唇にキスしてくれた。

なんでバレてもうたんやろ。

カッコ悪過ぎる・・・


「なんも寂しないし。
楽屋で変なことせんといてや」


また素直やない言葉が口をついて出てくるねんな・・・


そこに急に濱ちゃんが戻って来て。


俺らを見て、絶句・・・


「あ、う、え、ごめーん！」


言うて、慌てて出てった。


「大毅のせいやからな！」


「ええやん。
とも、ほんまにシャイやねんから」


大毅のがシャイなイメージのくせに。

おかしいやろ。

ほんま。


間髪入れずに、またドアがノックされて、
チーフマネージャーが入って来た。


最近、俺らのこと、見張ってるねん。


今日も鬼の形相やもん。

水族館デート以来、
外で手ぇ繋いだりしてへんのにな。

仕事場でも距離置いてるし。


マネが大毅に向かって、


「これは何？」


スマホを突き出した。


恐る恐るのぞいた画面には、

大毅と共演女優の、
斎藤千春ちゃんとの写真。

どう見ても恋人同士。


胸に言いようのない痛みが走る。


「神山くんのことはカモフラージュだったってわけ？
すっかり騙されてたんだけど。
そりゃあそうよね。
男の子同士なんて」


マネの言葉にまた傷が抉られた。


「違います。
これはその、向こうが勝手に、
くっついて来て。
困ってるんです」


「・・・信じられないんだけど？」


「ほんまに誤解なんですって」


「否定コメントは出さないけど。
違うって言うなら、
プライベートで二度と彼女に会わないでね。
自分の立場よく考えて」


「はい」


大毅とマネとのやり取り聞いてるうちに、
不安だけが膨らんでく。



マネが出てって二人きりの楽屋。

気まずい空気が流れる。


言い訳とか聞きたくない。


信じてへんわけちゃうけど・・・


街中、大毅の腕につかまって、歩く彼女。

めちゃくちゃ似合うてた。


その事実だけで、俺を打ちのめすには充分や。


「とも。違うで？誤解せんといてな」


俺の手を取ろうとした、大毅の手、

思わず振り払ってもうた。


俺以外に、触られて欲しない。


けど、大毅にちゃんとした彼女出来たら、

別れなあかんのも、分かってる。


それは今やなくても。

いつか必ず来る未来な気がするねん。


怖くてたまらん。


「ごめん、俺もやっば、ご飯行く」


楽屋から逃げ出してしもた・・・

誤解。１→←３

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す