何万回だって、「君が好き」２

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部屋に帰って来て、
唐揚げ作り。


「俺も手伝う」


大毅がキッチンに入って来るけど、
邪魔でしかない。


「ええよ。
あっちで待っといてや」


「えー、見ときたいもん。
ともがエプロンして、
俺のために手料理作ってるとこ」


「・・・邪魔。
強制退場」


「つまらん」


ぶちぶち言いつつ、
素直にリビングに。


でも結局、
カウンターに頬杖ついて、じっと見てくるわけ。


そんで、挙げ句の果てに、
スマホで俺の写真撮ってるねん。


「大毅、やりづらいねんけど」


「ええやん。
撮影や思ったら」


「カメラマンさんみたいな視線ちゃうやん」


「しゃあないやんっ。
ともが可愛いんが悪いねんっ」


「意味不明過ぎ」


そっから無視しててんけどさ。


「何百個でも食べれるよ。
何万回でも作ってよ。
君が僕に作ってくれる、
はじめての料理はからから唐揚げ♪」


そんな鼻歌を替え歌で歌ったり、
つまみ食いしてきたりさ。

もー、ほんまに子供やねんて。

大毅のこういう純粋なとこも、
実はめっちゃ好きやったりするねんけどな。




「大毅、出来たで！」


「やったー！」


二人で夕ご飯。

唐揚げ用のレモンも大毅のために用意したし、
お酒もちょっとだけ。


大毅は何百個でも歌ってた通り、
口いっぱいに頬張ってる。


「めっちゃ美味しい！
箸止まれへん。
とも天才やな！」


好きな人に喜んでもらえるって、
こんなに嬉しいもんやねんな。


「褒め過ぎやって」


「褒め足りひんわ」


「また別の料理作ったるから」


「ほんまに？」


「いつでもええよ」


「やった！
俺、世界一の幸せ者やなあ」


大毅が目を細めてる。


「俺ん方が・・・」


俺の方が、大毅よりずっと、幸せ者やって。

言おうと思うねんけど、

喉の奥に声が絡みついてる。


「ん？」


俺を見た大毅のほっべたに、白い粒見つけて。


「大毅、米粒」


結局、続きは言えずじまい。


「どこぉ？」


甘えた声で聞いてくるから、


「鏡、後ろ。自分で見？」


なんでこんな残念なやつやねんって。


今日こそ、大毅に、大好きって言おう。


一人勝手に決心だけはしてるねんけどな・・・

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