01 ページ1
大きな自動ドアに、ホワイトベージュのシンプルなワンピースが揺れる。ちょっと奮発しちゃったけど、せっかく会えるんだもん。
あんだけ悩んで決めたんだ、大丈夫、かわいいかわいい。
私が投稿した小説が大賞を獲ったのは、1年前の事。
投稿した事も忘れていた頃、いきなり電話がかかってきて、それからあれよあれよと言う間に本の出版が決まり、そして今度はドラマ化になるそうだ。
まさか自分がこんな事になろうとは夢にも思わず、しかもずっとテレビでみていたあの人に会えるなんて。
「瀬野さん、こっち」
「はいっ！」
おい私、返事食い気味だぞ、焦るな、落ち着け、息をしろ。
出版の時からお世話になっている黒田さんに続いて部屋に入れば、長テーブルがコの字型に並べられていて、机の前に貼っているそれぞれ名前がプリントされた紙がヒラリと揺れた。
あった、私の名ま……………うわぁああった！向かいにあった！！
「瀬野さん？暑い？」
「えっ！？あ、はい！いやいいえ！ジャストです！」
ジャストってなんだよ！気温だよ！いや室温だよ！
深呼吸をして自分の席の横に鞄を下ろせば、黒田さんがどうぞと机の上にあるお茶のペットボトルを渡してくれた。
「ありがとうございます…」
「緊張するよねぇ、ファンだもんねぇ指名しちゃうくらいだもんねぇ本物くるもんねぇ」
「これ以上緊張させないでください……」
もうプリントされた名前の文字でさえ緊張するのに
「おはようございまーす」
ーーーガタンッ！！
「あー！おはようございますー！」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………ッッッ！！」
思いっきりテーブルに脚をぶつけて声を噛み殺す。
「瀬野さん、プロデューサーの桃井さん」
「っ、瀬野Aです！よろしくお願い致します！」
「あぁ原作者さんね！若いねぇ〜」
「ありがとうございます！」
あぁ、もう心臓が持たない。
黒田さんと桃井さんはよく知った仲らしく、二人で談笑を始めた。
「ちょっと御手洗い行ってきます、」
まだ始まるまで時間がある、ちょっと落ち着けよう。
メイクも直したいし、あの部屋にいたら誰かが入ってくる度にアザが増えかねない…………
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 971人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
南季(プロフ) - 葵花さん» 葵花さん2周目＆嬉しい言葉ありがとうございます！須藤はずっとそんな感じですよね…笑 長い旅になりますがゆっくりまわってきて下さい♪ (2021年11月1日 6時) (
レス) id: 3a2f744c0e (このIDを非表示/違反報告)
葵花(プロフ) - 久しぶりにキュンキュンしたいと思い、2周目にやってまいりました！！このころからもう、須藤が可哀想で、、倫也さんは尊いし、倫也さんに対しても、この作品に対しても、好きという言葉が止まりません！！ (2021年11月1日 3時) (レス) id: 8ffe339636 (このIDを非表示/違反報告)
南季(プロフ) - ゆみゆみさん» ゆみゆみさん、最後まで大事に読んでくれてありがとうこざいました。大切な仲間って言ってくれて嬉しいです。また何度でも彼らに会いに来て下さい♪この先のお話は、またいつか♪♪♪嬉しい気持ち伝えてくれて、ありがとうございました！ (2021年8月16日 21時) (レス) id: 5c3131b6c5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみゆみ(プロフ) - 南季ちゃん、さっきやっと全部読み終えました。大好きなお話だから大切に大切に読んで、私の中でみんな大切な仲間で、倫也さんもやさんで、ともやさんじゃなくてやっぱりともやさんで(笑) この世界が大好きすぎて、ロス状態です。また会いたいなぁ。 (2021年8月16日 21時) (レス) id: 41c9e973f0 (このIDを非表示/違反報告)
南季(プロフ) - まさかのましゃかど！さん» こちらにもコメント嬉しいです！携帯壊さないように気をつけて下さいね笑♪ 今日分今から更新しますね♪ (2021年3月22日 22時) (レス) id: 80e9fd99a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：南季
| 作成日時：2020年3月29日 14時
