「 他じゃ物足りないんちゃう ? 」 ** Nagase Ren :) 完結 。

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なんて思ったのも束の間 、

くんくんと犬の様に
耳元辺りに鼻を近づけた先輩 。




… ちょ 、 何してんすか 。






「 あの せんぱ 、 」




藤「 何か 、 男もんの香水の匂い 」




「 え゛ っ 」






文字通り 、 「え」という言葉に濁点がついたような
そんな親父みたいな声を上げてしまう 。



それほどに 、 今の発言には驚いた 。





… 男もんの香水って 。




… 1人しか思いつかないじゃないか … !!







藤「 今日 、 朝誰かと逢ったん ? 」




「 いや 、 そのお … 」




藤「 耳元に匂いつくなんて 。 そんなに密着したんか ? 」






先輩の一言一言が 、
朝の出来事を鮮明に思い出さす 。




… 今後一切 、 あいつには触れてもらわないようにしよう 。








「 ちがうんですよ 、 先輩 ! 」




藤「 何がやねん 」




「 あたし弟居るじゃないですか 。
　 今日朝 、 弟の部屋入ったんですよね 」




藤「 … ああ 、 成程 。 弟くんが付けたんか 」






良かった 。


先輩に
あたしの家族構成の話しといて良かった … !!




1人でほっと胸を撫で下ろしてると
急に繋がれた手と手 。





… お … ?







藤「 ほんま焦った 。 浮気かと思った 」




「 … え 。 全然そんな素振り見せませんでしたじゃん 」




藤「 言葉おかしいで 。 結構焦ってんねんで ? 」






照れ隠しなのかなんなのか 、

ぎゅうううっと手を握られて
あたしは 「 痛い痛い 」 と声を漏らす 。




そんでもって 、 あたしもお返しにしてあげる 。





… あんまり効果はありませんでしたが 。






っていうか今思った 。






「 あたしたち 、 」




藤「 路上で何してんやろな 」







ほんとそれです 。


朝早くて良かった 、
人通り少なくて良かった 。




先輩と以心伝心できた気がして

2人して顔を見合わせ 、 笑い合った 。









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