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ページ35

たどり着いたところは夜の海。満天の星空が、空に、水面に輝いている。
このまま、この海に沈んでいけば彼女に会えるのだろうか…
でもそれでもし彼女に会えたとしても、きっと許してくれないだろう。


「A……俺さ、君からの手紙を見て…すごい、すごい後悔してるよ。
 言いたいことだってたくさんあるのに……もう遅いって…言えないって気が付いて…
 それでも、たとえ届かなくても君のことが…Aのことが……好きだよ…!」


返事は何もないけど、俺の声が響いているだけだけど。
言わずにはいられなかった。君が好きだって、そう言葉に出したかった。
この気持ちは何回、何十回、何百、何千…いや、何万回でもいえる。君を想える。
Aには届かないって脳のどこかではわかっているけど。


「すぐには会いに行けないけど、君の分までいろいろなことを見てくるよ。
 楽しいことも辛いことも全部乗り切って、最期にはちゃんと君に会いに行くから。
 だから、さよならは言わない。だって俺は……俺は!!いつかそこに行くから
 そしたらきっと……Aと会えるって信じているから!!」


涙が砂に吸い込まれていくのも気にせず泣き、声を上げる。
俺の叫びに呼応してか、風が吹いた。
―――ずっと待ってるよ。
そう、彼女の声が聞こえたような気がするのは……気のせいだろうか。


 
 

 
それから数か月の時が経った。
あの後俺は無我夢中で詩を書き、メロディーを作り上げた。
Aのことを、思い出を忘れないように。
そうして出来上がった曲が詰まったアルバムが今日発売される。
そのタイトルは――――『それはきっと恋でした。』

 
 
 
アルバムが発売された当日の夜。
評判はどうかな、なんてそわそわしている俺の元に電話がかかってきた。
ディスプレイに表示されたのは…まふ君。携帯に電話なんて滅多にかけてこないのに…


「天月君。」

「まふ君、どうしたの?」

「僕、いつでも話聞くからね?辛かったら話してね?」

「…ありがと…まふ君。」


 
突然電話が来て何事かと思ったら、彼は泣きそうな声でそう言った。
あぁ、感受性の強い彼のことだから気がついてしまったのだろう…
俺が誰を想って歌った曲なのかを、作り上げた曲なのかを。
大丈夫、俺はもう前を向いて歩き始めることができたから…
例え、死が2人を引き裂いたとしても何度でもこう言える。


 

「きっと、会いに行くから……大好きだよ、A。」




――End――

【まふまふ】天使になる僕と、僕だけを忘れた君/かのこゆり→←*



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設定タグ:歌い手 , 大型コラボ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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あゆ(プロフ) - どのお話も切なくて、思わず1話読み終わる事に泣いてました…w最高でした!ありがとうございます…(´;ω;`) (2019年7月25日 21時) (レス) id: e76134e0bd (このIDを非表示/違反報告)
夏々 - まふくん……悲しすぎる(;_;) (2018年11月22日 23時) (レス) id: ca7b93074f (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり - かのこゆりです!天使病のお話を書かせていただきました。お褒めの言葉、ありがとうございます!緊張していたのもあり、正直あまり自信がなかったのですが、そういっていただけて嬉しいです。読んでくださり、本当にありがとうございました! (2018年11月22日 4時) (レス) id: 459f75f8c6 (このIDを非表示/違反報告)
sera(プロフ) - ぬこさん» 坂田さんの小説の作者、seraです。私の書いたものが良かった、と書いてくださったのでコメント返しさせて頂きます。そう言ってくださりありがとうございます。これからも私含め、他の作者様のこと、応援よろしくお願い致します! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 28f01b04a4 (このIDを非表示/違反報告)
ぬこ - 凄く感動しました。特に、坂田さんの入院(?)のやつと、まふまふさんの天使病のやつです。めっちゃ泣きました!これからも頑張ってください! (2018年11月21日 21時) (レス) id: 4fbcbbbe7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:参加者一同 x他1人 | 作者ホームページ:  
作成日時:2018年11月20日 22時

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