従兄弟 ページ8
あれからランとリンドウとは仲良くなった。ラン・リン・Aと呼び合うくらい。
何かこれと言って約束する訳ではないけど、散歩中に良くバッタリと出会っては一緒に遊ぶようになったのだ。週2か3くらいかな。
お互いにお互いのことはあまり知らない。苗字も、名前の書き方も、住んでいる場所も、年齢も何もかも。2人は小学生だろうけど、学校すら知らない。
でも友人関係ではあるのだと思う。多分。
曖昧でハッキリしない関係性だけど、不思議と居心地は良い。なんだかんだ私もこの関係を気に入ってるんだろう。
桃矢「着いたで〜」
貴方「はーい」
今日は叔母さんーー母親の妹夫婦の家に来ている。我が家は六本木で、叔母夫婦の家は渋谷、すぐ近くだ。
叔母夫婦には私の2歳下の男の子がいる、らしい。さっき聞いたけど。そういえば会ったことある気がする。だが名前を忘れちゃったくらいにはAちゃんの記憶に少ないぞ。
まあ多分、最後に会ったのが1年ほど前だからだろう。ここ最近叔父さんが忙しくてあまり会えてなかったのだ。
5歳の、それも人の顔と名前を覚えるのが苦手な興味もやる気も無し星人の記憶力なんてそんなもの。
相手の子なんてその時2歳なんだからもっと覚えてないと思う。ていうか100%覚えてない。
花垣の表札が掛かった門を通りピンポーンとチャイムを押すと、叔父さんが小走りで来て開けてくれた。
中に入ると総出で出迎えてくれて、叔母さんの足の後ろに小さな子が隠れている。
叔母「ほらご挨拶なさい」
武道「たけみち、さんさい！」
貴方「タケミチ君って言うんだ。私A、5歳。よろしくね」
3歳って自信満々に指立てて言ってくるの凄く可愛い。うん、この年齢ってほんと可愛い盛りだもんね、とっても可愛いよ。
タケミチって言うんだ。どんな字を書くんだろう。
目元のハッキリとした意志の強そうな目の中には、青く澄んだ瞳が輝いている。
叔父さん似だけど、目元は叔母さん似だ。
取り敢えず可愛い。小さい子っていいなぁ。
貴方「遊ぼ」
武道「うん！」
子供なら多分一緒に遊ぶので遊びにお誘いすると、人見知りしてたのはなんだったのか。嬉しそうに手を引いて先先と歩き出した。
分かった、分かったから、って君結構速いし力強くない？
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作者名：mol/L | 作成日時：2022年8月3日 20時
