【鬼滅の刃】何度生まれ変わろうと９ (ページ21)

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伊之助が目を覚ましてからの蝶屋敷は毎日賑やかだった。
安静にしろと何度も注意しても気付けば病室を抜け出して裏山に遊びに行き、鍛錬をするAと善逸に連れられて戻ってくる。

もうすぐどんぐりが旬だとウキウキしている伊之助はどんぐり収集家で、彼の病室は既にどんぐりだらけになっていた。
シーツを交換しにやってきたアオイが土だらけのシーツを見て悲鳴を上げたこともある。

「もうあの人何なんですか…日に日に病室のどんぐりは増えますし、昨日は炭治郎さんの額にどんぐりが供えられていたらしいですよ…」

うんざりしたように愚痴を言うアオイに話を聞いていたAとカナヲは困ったように笑った。

「昨日炭治郎のお見舞いに行ったら、炭治郎のおでこにどんぐりがあったからびっくりしちゃった」

「それは驚きますね。私も昨日寝ようとした時に尻でどんぐりを踏んでしまって驚きました」

その犯人である伊之助は今日も山に遊びに行ってしまい、昼食の時間になってもまだ帰ってきていない。
クスクスと笑いながら話すAは全く気にしていないようだが、それを聞いたアオイとカナヲは「えぇ…」と珍しく声を揃えた。

「それにしても善逸さん、まだ伊之助さん見つからないんですかね。探しに行くって言ってから随分経ちますけど…」

そこでアオイは食堂にある窓に視線を向ける。
鍛錬中に珍しく見かけなかった伊之助はどこまで遊びに出掛けているのか、今は善逸が探しに行ってくれているがもう二十分は経っている。

その瞬間、噂をしたからか善逸と伊之助の声が聞こえてきた。

「だーかーらー！今回は俺達だけなの！お前はそもそもまだ安静にしてなきゃいけないんだろ！」

「俺様はもう完全復活したって言ってんだろうが！力が有り余ってるぜ！」

「疲れて寝てた奴が何言ってんだよ」

そんな会話をしながら善逸と伊之助が食堂に入ってきた。
食堂でAの姿を見つけた善逸はあっと声を上げる。

「Aちゃん、指令がきたよ」

指令と聞いたAはそれまでお喋りをしていたアオイ達と顔を見合わせた。
今夜は前に約束した煮魚の作り方を教わる予定だったが、任務となれば仕方がない。

「では煮魚は次の機会、ですね」

「そうなりますね…残念です」

Aは残念そうにしながらガタッと椅子から立ち上がった。
それから善逸へと視線を向け、すぐに支度をしてくるねと自分の部屋へと急いだ。