お悩み(K) ページ14
「ねぇ、きっくん」
俺んちに勝手に遊びに来たAは、勝手に淹れたコーヒーを片手に、深刻な顔をして呟いた。
「んー？」
「人間だったら、もっと他の人生だったのかなぁ」
「...どうした？」
「今に不満があるわけじゃないんだけど、やっぱり...私は
俺はAの正面に座って、頬杖をついてAのことずっと見てたけど、悲しそうには見えないからまあ大丈夫かなと思う。
俺もそういうこと考えることあるし。
「...俺だってさー、普通に恋愛してみたかったよ」
コーヒーカップを持つAの手を包むように握れば、大袈裟なほど跳ねる身体。見慣れた光景だ。
「...ごめん」
Aが悪いわけじゃないのに、Aはそう言って顔を伏せた。狐耳もしゅんと垂れ下がる。
「気にしない気にしない。気分転換にどっか出かける？それかゲームでもする？」
Aのつむじをツンツン突きながら言う。
「いててて...もう、やめてよきっくん！」
Aは俺の手を払い除けながら笑った。
「笑ってる方が可愛いよ」
「んぇ...」
「いちいち赤くなんないでよ」
「しょうがないでしょ...これでも、人間じゃないからきっくんの
「...俺は
今俺は、どんな顔をしてるんだろう。
「きっくん、それってー」
「...人間の女の子は苦手だから。言動が曲解されて、本心が伝わらない。」
他人の温もりが恋しくなって、
「...ごめんね、Aちゃん」
フラフラと立ち上がると、Aを後ろから抱きしめる。
きっと、死にそうなくらいドキドキしちゃってるんだろうけど、Aは平然としてて、少し震える手で
俺の頭を撫でた。
「私こそ、ごめんね」
耳元で聞こえた優しい声。
俺がさっき言ったことを気にしてるんだと思う。なんでもないように装ってくれるAの優しさに、今は甘えていてもいいかな。
(傷の舐め合いでもいい、こうして大切な友人をずっとそばで支えられるならば、人間にならなくてもいい。)
＞＞＞
インキュバスの恋愛について描きたかったけどなんか...思ってたより5倍くらいクオリティ下がった...
最後の()はKさん、Aさん双方共通の想いです。
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作者名：名無しの夢女子 | 作成日時：2019年1月8日 22時
