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「桐原さんの将来の夢は?」
中学校に入学して一週間後。
今は学級活動の時間。
今日は、みんな『将来の夢』を発表する日だ。

私は、自信を持って大きな声で言った。
「将来の夢は、人気作家になることです!」

高らかにそう言った瞬間、クラスの空気がシン……と静まり返った。


うーん、私、そんな驚かれるようなことを言った?
脳内会議を開こうとしたけれど、答えはすぐに出る。
言ってない。

みんなそれぞれ、つまり『個性』があるからいい。
先生まで黙ることないじゃん。
だって、悪いこと言ってないから。


同じ小学校の子が、目を出目金と同じくらい丸くしているのを見た。
まあ、驚かれて当然だろう。

隠すのが苦手だから正直に暴露するけど、私の成績は中の下。
文章力も決して長けている訳では無い。
あえてレベル付けするなら、平凡。
ならどうして、私が作家になりたいのか。
きっかけは、叔父の家に遊びに行った時の小さな出来事。


私が作家に憧れ、将来の夢として語るようになったのは、まだ本当に小さい時。
確か、小学校二年生の終わりの頃。
親戚の家に行った時に、たまたまとある本を見つけた。
その本は、叔父が書いた本だった。

叔父も、自分の仕事が作家であることを、ほとんどの人に隠している。
だけど、私が叔父が書いた本を読んでいたら
「紗月、ここにいたのか。……ん?」
いつも通りを装ってはいたけれど、動揺しているようだった。

その時、叔父は私にだけ、誰にも話さない、という前提で教えてくれたのだ。
このペンネームは自分で、実は作家なんだ、と。

叔父が作家であることを隠している理由は一つだ。
知名度が低い、つまり売れないから。

家族に、私は将来の夢を話していない。
別に、親に反対されるからではない。叔父のことを話したからでもない。
親は私に、いい会社に就職してほしいと願っている。

それなのに、作家になりたいと言えない。
自分の好きなことをやれ、とは言ってくれるけれど、出来る限りみんなと同じ道を歩んでほしい、
そう言っていたのだ。夜、私が自分の部屋に行った後。
眠れなく、お腹もすいていたので、台所に行こうとした日に聞いた。

実際は、反対されるのが怖いだけかもしれない。
しかし私は諦めない。

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うたは(プロフ) - 陰月。さん» わざわざ返信ありがとうございます。ううん、なんでしょう。私からすると多いなあという印象なのですが、陰月。さんが書いていて心地よいならこのままでも、と思います。指摘した身だというのに申し訳ございません。これからの御活躍お祈りしています。 (2019年2月17日 17時) (レス) id: 14b840c6a0 (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - うたはさん» 今更の返信すみません。やはり開業が多い方が読みやすいでしょうか?少し多めにしてみます。わざわざありがとうございます。 (2019年2月17日 11時) (レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)
うたは(プロフ) - はじめまして。このお話好きです。が、すみません、文の途中での改行が些か読みづらく感じました。これからも応援してます。頑張ってください。 (2019年1月20日 23時) (レス) id: 87a0c9cf89 (このIDを非表示/違反報告)
陰月。(プロフ) - コノハ【心葉】さん» コメントありがとうございます<m(__)m>気づくのが遅くなってしまいすみません(-_-;)夢が小説家、とはっきりしていていいと思います。 (2018年12月29日 19時) (レス) id: 83a189451f (このIDを非表示/違反報告)
コノハ【心葉】 - 私の夢が小説家なので、なんか、元気付けられました。 (2018年11月14日 17時) (レス) id: bac5683ead (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:陰月。 | 作成日時:2018年3月22日 16時

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