黒猫は幸せを届けたい (ページ3)

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出来るだけ振動を与えないよう慎重に、それでいて早く走る。
10分ほど森を走れば後輩との合流地点に到着した。
走っている最中にインカムで連絡を入れていたからか、既に後輩－最近幹部に昇格したチーノ－が荷物を纏めて待っていた。

｢珍しく早いやん｣

ci｢こっち側はハズレやったんではよ終わったんすよ｣

ヘラヘラと笑いながらも手をしっかりと動かしているチーノに、成長したなぁ…としみじみ思いつつ
城に戻るための準備を終わらせる。

｢よし、こっちは終わったで。｣

ci｢こっちも終わりました！何時でも戻れますよ｣

｢ほな、ちゃっちゃと城に帰ろか｣

ci｢了解っす。せや、報告は軽くやけどしてるんで色々準備はしてくれてるはずやで｣

｢助かる｣

それだけ答えて走り出せば、少し後ろから足音が聞こえてくるから着いて来てるんやろうなぁ。

｢もうちょっとだけ待っててな｣

腕の中の黒猫に向かって投げかければ、か細くにゃあと返事をした気がした。

さわさわと優しく頭を撫でられている気がして、ぱちりと目が覚める。
結構長く寝ていたみたいで、視界がボヤけるから何度か瞬きをしてピントを合わせる。
どうやら誰かに拾われて、病院みたいな場所に運び込まれたらしい。
モゾモゾとダルい身体をどうにか動かしていると、起きた事に気付いたのか私を撫でている手が離れてしまった。

｢起きた？おはようおちびちゃん｣

上から降ってきたのは落ち着いた男性の声で、安心する。変な人に拾われていたらどうしようかと思った。

『にゃー！んにゃぁぁん』

助けてくれたであろう彼にありがとうを伝えたくても、出てくるのはねこちゃんの鳴き声。

｢元気そうで良かった。見つけた時くたっとしとったから間に合わんかと思ってたんよ。｣

未だにピントが合わないけど、声の聞こえてくる方へ顔を上げればボンヤリとだが顔が見えた。
深い青い髪に銀の眼鏡が似合うお兄さん(イケメン)。

『ぴゃあ』
余りの顔の良さに変な声が出た。

どうやら拾われたみたいです。