君の隣 2019 後編（WN） ページ25
＜WN side＞
昨夜。
日本にいるAはどうしてるかと、スマホの発信履歴の一番上にある名前をタップする。
でも何回か鳴らしたコールの後Aが出る事はなくて、静かにOFFのスイッチを押す。
日本と韓国の時差はないけど、もしかしたらもう寝たのかも。
しようがない。
そう思って、ベッドに仰向けになった時だった。
しんとした宿舎の部屋に突如着信音が鳴り響いて、置いたばかりのスマホを手に取り起き上がる。
ワンコールも鳴らないうちに、画面に出る名前を確認するよりも早くONにして呼びかけていた。
WN「A？」
『･････うぉぬゃ･･･････』
当たり。
待ち望んだ声だったけど、びっくりしてちょっと反応が遅れる。
WN「･････泣いてんの？」
『違う、けど･････』
WN「うん？」
『弱ってる････････』
わずかに鼻声で、細々と話すA。
･･････ほとんど泣いてんじゃん。
WN「なにがあったの。今どこ？ 一人？」
『･･････、ホテルの自分の部屋だよ、一人でいる』
思わずベッドサイドの時計を見た。
時刻は23時をちょっと回ったくらい。
とりあえず外で泣いてるとか危険な状況ではなさそうだと判断して、ひとまず胸をなでおろす。
WN「そっか。 でも、言ってくれなきゃわかんないよ。････どうした？」
『うん･･･････』
WN「大丈夫。俺しか聞いてないから」
努めて優しく促してやると、何拍か置いてからぽつりと説明し始める。
『オッパを怒らせちゃって････それで、』
WN「オッパって？ ジョシュア？」
『うんそう』
WN「なにしたの」
『････寝ようとしてるところにオッパにコーラかけちゃったのと･････』
WN「うん、」
コーラ？
それどういうシチュエーションと思いつつ、ここで突っ込んだら話が脱線しそうなので黙っておく。
『･･････、』
WN「A？」
逡巡してる気配の後、ややしばらくして、
『････気軽に男を部屋に誘っちゃだめでしょ、って』
WN「あーー････」
一瞬で理解した。
それって怒ってるとかじゃなくて、シュアヒョンの”教育的指導”が入ったんじゃないか、と。
まぁなにをどうしてそんな流れになったのか細かい事まではわかんないけど、長年一緒にいるから大体想像がつく。
あらかた、いつもみたいに無邪気にしてたんだろうなAが･････。
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作者名：七瀬 | 作成日時：2022年9月11日 15時
