8話 ページ9
豪炎寺はAと一緒にピッチに立てなくなったのが悔しくて、 悲しげな表情に歯を噛み締めていた。
この怪我なら多分入院することになるかもしれない。
だから今この近くで、 Aの力を見たい。
そう豪炎寺は、 Aに告げたのだろう。
「…解りました。 私の力を見せてあげます。」
「ありがとう、 期待しているよ」
豪炎寺は力なく微笑めば、 Aも返すように笑みを浮かべた。
Aがフィールドに戻ると、 先程の胸騒ぎがすっと消えた。
正体は豪炎寺が怪我を負うことだった。
「(…誰の仕業なのか、 大体予想は付くけど)」
Aは先程のペクの不審な動きを思い出してペクを見詰めた。
もしかしたら韓国側が仕掛けた罠かもしれない。
強力なシュートでゴールを奪った豪炎寺に怪我をさせれば、 攻撃力は落ちて韓国側が有利になる。
そう考えたのだろう。
そして試合再開。
「さぁ、 本番だ!!」
ペクがボールを持ち込んでいく。
そこに明日人が走って追い掛けた。
「(豪炎寺さんが居なくても、 負ける訳には行かない!!)」
明日人がペクに追いつくと、 ペクはすぐにソクへパスを出した。
そこに灰崎が奪いに入る。
「(やり返してやる…!)」
「灰崎! ラフプレーはダメだ!!」
いち早く気がついた明日人が灰崎に向かって叫ぶ。
「うっせぇ!! 解ってる!! そこまで餓鬼じゃねぇーッ!!」
灰崎はそう述べるも、 思い切りラフプレーでスライディングして奪おうとするがソクに躱されてしまった。
「灰崎!!」
「くッ…!」
その後、 氷浦がボールを奪って上がる。
だが再びすぐにボールは奪われてしまい、 前線にいるペクへとボールが渡ってしまった。
「バイソンホーン!!」
「はあッ! 風神雷神!!」
円堂が必殺技を出してペクのシュート技を何とか止める事が出来た、 そこで前半終了となった。
「灰崎くん」
「あ? んだよ、 A」
「後半戦、 ボールをすぐ私に渡してくれるかしら」
「はぁ?」
灰崎はAの言葉に何でだよ、 という顔で見詰めた。
Aも灰崎を見詰め返す。
「豪炎寺先輩に言われたの、 私の力を見せてくれって。 だからそれに応えたい。 …大丈夫、 必ず点は取るから。」
「随分と自信あるんだな。 …わかった、 お前に渡してやるから必ず決めろよ」
「ありがとう、 灰崎くん」
Aは灰崎に微笑むと、 灰崎は頬を薄く赤色に染めてふいっと顔を逸らした。
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作者名:りはる x他1人 | 作成日時:2020年3月20日 16時